2009年5月12日(火)「しんぶん赤旗」

保育所の充実へ

共産党東京都委 認可園増設など提言

待機児 1年で1.5倍 党都議団調査


 東京都内で保育園への入所を待っている待機児が昨年の四月一日にくらべ一・五倍に急増していることが十一日、日本共産党都議団の調査でわかりました。党都議団と都委員会は都庁で記者会見し、解消にむけ認可保育園の増設をすすめることを柱とした提言(別項)を発表しました。


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(写真)記者会見する、右から大山、吉田、かちの各都議、田村都副委員長=11日、東京都庁

 党都議団では四月一日現在での待機児童について都内の区市町村にアンケートを実施。九区三十市町村から回答がありました。

 この回答の集計で待機児童は昨年四月一日に比べ千百八十二人多い三千七百人(一・五倍)となりました。(希望する認可保育園に入れなかった児童数をすべて待機児とした旧定義では、二千百四十四人増の六千九百六十五人で一・四倍)

 とくにゼロ歳から二歳までが千百七十人で、増えた待機児の99%にのぼりました。

 待機児が増えたのは、定員増を上回り入所申し込みが急増したためです。各自治体からの回答では、旧小学校の教室や区有地などへの分園の設置、暫定保育事業の実施や臨時保育室の設置の緊急事業など緊急対策にとりくんでいることがわかりました。

 記者会見に吉田信夫、大山とも子、かち佳代子の各都議と田村智子都副委員長らが出席。吉田都議は、昨年四月一日現在の都内の待機児童は五千四百七十九人に対し、「ことし十月一日にはさらに増え、一万四千人に及ぶと推計される」と指摘し、緊急の対応が必要だと強調しました。

 提言は、アンケート回答にあった都への要望を受けてまとめたもの。深刻な待機児解消にむけ、閉園している保育所再開や認可保育所の分園増設など緊急対策、三年間で一万五千人分の認可保育所増設、用地費補助の創設と都有地無償貸与、公立保育園の整備費補助創設などを打ち出しています。


待機児解消にむけ、保育所の量・質の充実をすすめます(大要)

 日本共産党東京都委員会が十一日に発表した提言「待機児解消にむけ、保育所の量・質の充実をすすめます」の大要は次の通りです。

深刻な待機児解消にむけ、認可保育所の増設をすすめます

 東京都は石原知事になってから、認可保育所をつくるのは「金がかかる」「民間でできることは民間で」などと言って、保育をもうけの対象にする民間企業の「認証保育所」を中心にしていく方向をすすめてきました。そのため認可保育所は石原都政のもとで毎年平均千五百人分しか増えていません。日本共産党は、待機児の急増に対する「緊急対策」と、認可保育所の抜本的な増設をすすめる「中長期的対策」にとりくみます。

▽急増している待機児受け入れの「緊急対策」を実施

 公的施設の活用、閉園している保育所の再開、認可保育所の分園の増設などによる待機児受け入れの緊急対策を都と区市町村が協力して実施。

▽三年間で一万五千人分の認可保育所を増設

 認可保育所を三年間に六千五百人分増やすという都の計画を前倒しし、目標をさらに引き上げて、〇九年度からの三年間に認可保育所一万五千人分の増設をすすめます。

▽用地費補助を創設、都有地を無料貸与に

▽公立保育園の整備費補助を創設

 全額区市町村の負担になる公立保育園の整備費補助を都が実施します。

保育の質の充実と保育料の負担軽減をすすめます

▽私立保育園への補助増額と人件費補助の再開

 私立保育園の職員の確保や待遇改善にむけ運営費の補助を増額し、経験年数に応じた人件費補助を再開します。

▽ゼロ歳児保育や延長保育、病児・病後児保育を促進

▽二人目以降の保育料を無料に

 区市町村で実施されている「同一世帯から二人以上入園する場合」の保育料は半額などに、都として財政支援を上乗せし、二人以上入園する場合の二人目以降の保育料を無料にします。

保育をもうけの対象にする企業参入の中止と「非営利」原則を明確にします

 石原都政が増設をすすめた民間企業の「認証保育所」では営利優先のため、子どもの給食の食材費を一食数十円にしたり、突然閉園する、職員数の水増し申請で補助金を不正に受け取るなど大変な問題が起きています。認証保育所、認可保育所を問わず民間企業の保育への参入は中止し「非営利」原則を明確にします。

▽「認証保育所」の設置・運営基準の改善

 保育士などの職員配置、有資格者の割合、施設の面積など「認証保育所」の設置・運営基準を改善します。

▽保育室制度を存続し、新規開設を再開

 小規模で家庭的な保育を担ってきた都の保育室制度について、停止されている新規開設の再開をはじめ拡充をすすめます。

保育所をさがすのは利用者の自己責任、増やすのは民間企業まかせにする国の保育制度見直しに反対します

 政府が実施しようとしている、利用者が保育所と「直接契約」を結ぶ新制度は、行政の保育への責任を大きく後退させるものです。保育制度改悪に反対し、保育予算を大幅に増やすよう、国に働きかけます。



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