2009年5月12日(火)「しんぶん赤旗」
主張
小沢代表辞任
説明の責任果たされていない
準大手ゼネコン「西松建設」から違法な献金を受け取り、政治資金収支報告書でうその届け出をしていた疑いで政策第一秘書が逮捕・起訴された問題で、小沢一郎民主党代表がようやく代表の辞任を表明しました。秘書の逮捕から二カ月余、起訴からだけでも一カ月半になります。
小沢氏は潔白を主張し、疑惑の解明も責任を明らかにすることも拒み続けてきました。辞めたからといって疑惑を国民に説明する責任が果たされたわけではありません。小沢氏は引き続き説明の責任を果たすべきです。
疑惑自体に反省がない
小沢氏は記者会見で辞任を決めた理由について、「次期衆院選での必勝、政権交代実現のため」で「挙党一致をより強固にするため」といいました。しかし、違法献金をめぐる疑惑については「一点もやましいことはない」と開きなおっただけで、具体的な説明はしませんでした。要は選挙に勝つか負けるかの党略的な判断優先で、疑惑の解明はそっちのけの態度です。
小沢氏は秘書が逮捕・起訴されてからこれまで、誰からの献金かいちいちせんさくしないとまでいって疑惑の解明に背を向け、「選挙に勝つ」ためだとして自らの辞任を拒否してきました。選挙に不利だとみると辞任を言い出すなどというのは、国民に対して二重三重に無責任な態度です。
小沢氏が民主党の代表を辞めるかどうかは、小沢氏と民主党が決めることです。しかし、ゼネコンから政治団体を偽装した違法な献金を受け取り、うそを届け出ていたという疑惑は、軽々にすませていい問題ではありません。
政治資金規正法は政治家個人への企業献金を禁止しています。政治家に政治資金の収支の届け出とその公開を義務付けているのは「政治活動が不断の監視と批判のもとに行われるようにするため」(政治資金規正法第一条)です。違法な企業献金を長期にわたり受け取りながら、その事実を隠すうその届け出は制度自体の根幹を崩すものです。
だいたい営利が目的の企業が政治家に献金するのは、見返りを期待するからです。実際、小沢氏に絡む「西松」の献金をめぐっても、東北地方などでの公共事業とのかかわりが指摘されてきました。
この点では、「西松」から巨額の献金を受け取っていた、二階俊博経済産業相らも同様です。
衆院の政治倫理綱領は、疑惑をもたれた政治家は「真摯(しんし)な態度を持って疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう」求めています。小沢氏が違法献金疑惑について国民への説明責任を果たしてこなかったのは、政治家として真摯さに欠けるものであり、それだけでも資質がないといわれて当然です。
民主党の責任も重大
小沢氏にかかわる「西松」違法献金疑惑は、民主党が金権腐敗体質という点で自民党とまったく変わらないことを改めて証明したという点でも見過ごせません。自民党にも民主党にも金権腐敗への自浄努力が見られません。
民主党が党として小沢氏を問いただすこともせず、辞任を言い出すまでやめさせようともしなかったのは重大です。その点への根本的な反省がない限り、誰が代表になっても国民からのきびしい批判を免れることはできません。