2009年5月11日(月)「しんぶん赤旗」

主張

米軍の車庫法違反

対米追随では違法なくせない


 車庫法で義務付けられている私有車両の車庫証明を、米兵・家族のほとんどが車両登録のさい添付していないという違法状態が続いています。

 日本共産党の井上哲士参議院議員は、違法状態が一年前とまったく変わらず、何の改善もないときびしく政府を追及しました。沖縄をはじめ米軍基地のある自治体は、国民には車庫証明の添付を義務付けながら、米軍の違法行為を放置するのは「不公平」と強く批判しています。違法行為を続ける米軍はもちろん、違法状態を放置している政府の責任も重大です。

日米合意もふみつけ

 車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)は、違法駐車を一掃するために、自動車の登録のさい車庫証明の添付を義務付けています。車庫証明を添付しなければ自動車をもてません。米軍も例外ではありません。

 ところが米兵・家族は、私有車両(Yナンバー=小型車、Aナンバー=軽四輪車)の登録のさい、車庫証明はほとんど添付していません。一九八八年に問題が発覚したさい、政府は違法と認めて、車庫証明がなければ登録しないよう全国の関係機関に通達をだしているにもかかわらず、違法状態が続いているのです。

 今年一月から三月まで、十一都県で登録された基地外に保管場所がある私有車両約六千七百十台のうち、車庫証明を添付しているのは12%にあたる七百八十二台。88%は添付していません。

 とくにひどいのは沖縄です。登録された私有車両三千二百九十三台のうち、車庫証明を添付した自動車は十九台、わずか0・6%にすぎません。全国平均をはるかに下回ります。あまりにも異常な数字です。米軍が沖縄を治外法権地域とみなし、横暴勝手をきわめているからにほかなりません。

 日米両政府は、二〇〇四年七月二十日の日米合同委員会で、基地の外に保管場所がある車両は車庫証明を添付すると合意しました。しかし、米軍はそれすら守らず、違法状態を放置しています。重大な約束違反です。

 基地の中に保管場所がある自動車の車庫証明添付を米軍が拒否しているのも放置できません。日本国内を走る以上、基地内に保管場所のある車両も車庫法に従うのは当然です。ところが米軍は、基地内車両の車庫証明問題も話し合うことに合意はしたものの、「日米間で意見のへだたりがある」といって日米合同委員会の協議そのものを拒否しました。そのため日米合同委員会の協議は〇四年八月から中断したままです。

 米軍は都合の悪いことは協議にも応じないという思い上がった態度を改めるべきです。

 米軍地位協定は、米軍が「日本国の法令を尊重」すると明記しています。車庫法を守らないのは米軍地位協定にも違反します。米軍の横暴勝手は許せません。

卑屈な姿勢をただせ

 車庫証明問題が発覚してから二十年にもなるというのに違法が続くのは、政府が米軍に気兼ねしてきびしく要求しないからです。中曽根弘文外相は、「引き続き協議していきたい」というだけです。これでは違法はなくせません。

 米軍の横暴勝手を許さないためにも、対米追随の卑屈な態度をただすことが不可欠です。



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