2009年5月10日(日)「しんぶん赤旗」
在日米軍再編費
日本負担 2―3兆円
米国防総省 予算案に明記
米国防総省が七日に議会に提出した二〇一〇会計年度(〇九年十月―一〇年九月)予算案の説明で、日本側が負担する在日米軍再編経費の総額が推計で二百億ドルから三百億ドル(二兆円から三兆円、一ドル=百円で計算)に上るとの見通しを示していることが分かりました。総額約三兆円とすれば、日本国民一人当たりで定額給付金のおよそ二倍の約二万三千円、四人家族で九万円を超える負担になります。
同省が発表した一〇会計年度予算案の概要説明は、「地球規模の軍事態勢見直し」の一環として「日本国内での兵力態勢の再編とグアムへの兵力移転によって日米同盟を強化する」と強調。特に▽沖縄県内での米海兵隊輸送能力の移転(普天間基地に代わる新基地建設)と一万人の海兵隊員の維持▽沖縄からグアムへの海兵隊員八千人の移転―を計画していると指摘しています。
その上で「日本は国内での再編経費の大部分を負担し、それは全体の計画を通して推計で二百億―三百億ドルになる」と明記。「これは、沖縄からの海兵隊員の移転に関連したグアムでの施設整備のための(日本側負担)六十一億ドルを含んでいる」としています。
在日米軍再編計画には、普天間基地に代わる新基地建設や在沖縄海兵隊のグアム移転のほか、米空母艦載機部隊の岩国基地(山口県)への移駐や米軍機訓練の六つの航空自衛隊基地への移転などがあります。(表)
在日米軍再編経費の日本側負担の総額については、〇六年に米側実務責任者のローレス国防副次官(当時)が約二百六十億ドル(当時のレートで約三兆円)と指摘。〇七年にも在日米軍のライト司令官(当時)が同じ見通しを示していました。
これに対し日本政府はグアム移転費に加え、普天間基地に代わる新基地建設費が三千五百億円以上に上ることを最近になって初めて明らかにしましたが、再編経費の総額についてはいまだ明らかにしていません。
今回、米国防総省の公式文書に明記されたことで、国民に対する巨額の負担を隠し続けようとする日本政府の姿勢が改めて厳しく問われます。
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