2009年5月9日(土)「しんぶん赤旗」
急増する失業に対処
EUが雇用対策会議
【ロンドン=小玉純一】欧州連合(EU)はチェコの首都プラハで七日、経済・金融危機で急増している失業に対処するため、雇用対策の特別会議を開きました。新たな雇用の創出のための措置として、労働時間の調整、労働者の技能向上など十項目の方針を確認しました。六月の首脳会議で具体策を詰めます。
会議にはEU執行機関・欧州委員会の委員長、EUの現議長国チェコと次期議長国スウェーデンの各首相、欧州労連の委員長、産業界の代表らが参加しました。
会議は、▽雇用を維持し創出する▽若い世代の雇用アクセスを増やす▽労働者の技能向上をはかり労働市場の需要に合致する流動性を促進する―の三点が狙い。一時的に労働時間を調整することや、再教育の機会を財政で支えることなどを確認しました。
労働者の技能向上の重視は、グローバリゼーションの影響、高齢化など社会構造の変化への対応です。環境関連や介護部門などの雇用も見込んでいます。
欧州委員会が四日に発表した経済予測では、ユーロ圏諸国の失業率は二〇〇九年に9・9%、一〇年に11・5%にまで上昇するとしています。欧州委員会のバローゾ委員長は会議後の会見で「失業対策に成功しなくてはならない。社会的な崩壊のもとで経済の回復はありえないからだ」と述べ雇用問題の重大性を訴えました。
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