2009年5月9日(土)「しんぶん赤旗」
二階派などに4000万円献金
海洋土木関係者 政治団体から
二階俊博経済産業相が会長の政治団体「新しい波」(二階派)や同派事務総長の泉信也参院議員が代表の自民党支部が、海洋ゼネコン(マリコン)関係者らでつくる政治団体から三年間で総額四千万円の献金を受けていたことが八日、本紙の調べで明らかになりました。同団体からの献金は、特定の企業や業界との関係が判別しづらく、政治団体を隠れみのにした事実上の企業献金の疑いがもたれます。
政治献金をしていたのは、中堅ゼネコン「東亜建設工業」(東京都千代田区)の元役員らが代表を務めていた「さんそう会」と、さんそう会の前身で同社の元常務と見られる人物が代表だった「港栄会」です。
さんそう会の元代表の東亜建設元役員は、本紙の取材に「私がそう(会の元代表)だったことは間違いない」と認めました。それ以外の歴代の代表三人もマリコン大手の元役員とみられる人物が就任しています。
両団体が総務相に提出した政治資金収支報告書によると「さんそう会」は、二〇〇七年に「新しい波」に一千万円を献金。泉信也参院議員が代表の「自由民主党東京都参議院比例区第四十七支部」と資金管理団体「篠山会」に五百万円ずつ献金をしていました。
〇六年には、泉氏側に計一千万円の献金をしています。「港栄会」も〇五年に泉氏側に一千万円提供していました。
港栄会は一九七六年に設立、〇六年九月にさんそう会に名前を変更しています。
同政治団体の性格について元代表だった人物は「二十社か三十社かの集団が政治家を支援するための資金を集める団体。(マリコンの)人たちが会には多いと思う」といいます。資金については「企業や個人にそれなりのものを払っていただいている」と企業からの提供を認めました。
こうした多額の献金をする両政治団体ですが、その原資は「港湾建設講演会」と称する政治資金パーティーでまかなっています。しかし一回に六百万円もの収入を得るパーティーでありながら、パーティー券の購入者の氏名が一人もわからないなど、不透明です。
本紙の取材に二階氏側は「政党の機関紙からの質問には回答しておりません」と回答。泉氏側からは八日までに回答がありませんでした。東亜建設工業は、「会社とは直接の関係はない」としています。
二階氏は、西松建設の違法献金事件をめぐって、西松建設のダミー政治団体から「新しい波」のパーティー券購入を受けるなど、千六百十八万円の献金を受けていました。
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マリコン マリン・コンストラクターの略称。ゼネコン企業の中でも埋め立て、浚渫(しゅんせつ)、海底トンネル工事など、海洋土木や港湾建設に特化した会社を指します。業界団体には社団法人日本埋立浚渫協会があり、二十七社が加入しています。
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