2009年5月6日(水)「しんぶん赤旗」
雇用の海外流出防止へ
多国籍企業に課税強化
租税回避地利用も規制 米大統領が方針
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は四日、税法の見直しに着手すると発表し、海外に雇用を移転する多国籍企業や、税金逃れのためにタックスヘイブン(租税回避地)を利用する企業に課税する方針を表明しました。二〇一一年から実施し、今後十年間で二千百億ドル(約二十一兆円)の税収増を見込みます。
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ホワイトハウスによると、二〇〇四年に米国の多国籍企業は海外活動で七千億ドル(約七十兆円)の収益をあげながら、米国に支払った税額は百六十億ドルで、実質税率は2・3%にすぎないといいます。米国の大企業百社のうち、八十三社がタックスヘイブンに子会社を持っているとしています。
オバマ氏は「だれも税金を払うのは好きではないが、大半の米国人は責任を果たしている」「しかし責任を逃れようとする者がいる」「企業向けの抜け穴だらけの税法で、企業は公正な税金を払うのを免れている」と批判。大企業が国際競争力を保持するのを望むとしながらも、「それは、雇用を海外に移し、利益をタックスヘイブンに送るという方法によってではない」と述べ、大企業による海外への雇用流出を批判しました。
オバマ氏が提案したのは、(1)多国籍企業が海外で税金を支払ったことを理由に減税される現行の仕組みを廃止することで、一一年から一九年までに四百三十億ドルの税収を見込む(2)タックスヘイブンにある海外子会社などを利用して税逃れをする企業や富裕層への課税措置を強化し、今後十年間で九百五十二億ドルの税収を見込む(3)海外への雇用流出を阻止する一環として、海外子会社への投資をする際に認められていた納税の先送り措置をやめ、一一年から一九年までに六百億ドルの税収増を見込む―などです。
一方、国内での雇用創出を促進するためとして、二〇〇九年で期限が切れる国内投資向け研究開発費への減税措置を恒久化することも表明しました。
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