2009年5月6日(水)「しんぶん赤旗」

帰国ラッシュ厳戒

成田空港 新型インフル検疫

機内で一時間待機も


 新型インフルエンザの感染が世界的に広がるなか、成田空港では五日、大型連休を海外ですごした人たちの帰国ラッシュとなりました。厳しい検疫態勢が敷かれた同空港で、帰国した日本人客や来日した外国人客らに聞きました。


娘が発熱…問診でOK、一安心

 一歳の娘が旅行先の北京(中国)で発熱したという男性会社員(34)は「子どもは三九度の熱を出しました。熱は下がりましたが、不安だったので、空港で医師の問診を受けました。大丈夫とのことで安心しました」とホッとしたようすでした。

 サンフランシスコ(米国)に十日間滞在し、帰国した男性会社員(51)は、「外国人は機内検疫に少しいらいらしていました。私の近くの席に座っていた人は激しいせき。そのため周囲の乗客と私は一時間近く座席で待機させられました」と話しました。

 米国・シカゴから来たプロの男性ゴスペル歌手(55)は「手洗い・除菌用の洗剤を持ってきた。インフルエンザには気をつけている。のどがやられたら商売にならないからね」と話していました。

 「四月十日に米国に里帰りし、四月二十八日にシンガポールに行き、いま日本に戻ってきた」という日本在住の米国人男性(46)は「シンガポールではマスクをしている人は10%ほどで、空港では検疫はなかった」と、対策の違いに戸惑ったようすでした。

 一方、空港内の携帯電話サービスカウンターでは従業員女性四人全員がマスクを着用。「万が一でもお客様に感染させてはならないとの配慮から」と説明しました。


保健所への調査票通知遅れ

「健康観察」に支障

 新型インフルエンザの流行が、世界的大流行手前の「フェーズ5」に引き上げられてから六日で一週間。新型インフルエンザ発生国からの帰国者にたいして保健所が行う「健康観察」にも遅れが発生しています。

 帰国者の健康観察は、厚生労働省が新型インフルエンザ対策のひとつとして、米国、カナダ、メキシコからの帰国者を対象に四月二十九日からスタートさせました。帰国者が記入した健康状態や連絡先などの質問票を地元の保健所に通知。保健所が十日間程度、定期的に帰国者の健康状態を確認し、症状が出た場合は指定医療機関での受診を勧めるというしくみです。

 ところが、東京都によると五日正午時点で、届いている調査票は一日までに入国した分だけ。「成田空港からは約千五百通の調査票がとどいている。関西空港などの他の調査票は届いていない。インフルエンザは(感染から)四日以内で発症することが多いので、把握が遅くなるのが心配」と不安を隠しません。

 都によると、検疫所から各地の保健所に直接通知すると、連休中とあって人手が足りずに対応できないということで、いったん都庁に集約して保健所に連絡しています。

 厚労省は四日、通知遅れを認め、帰国ラッシュに備えて成田空港の「健康観察」に対応するスタッフ増員を明らかにしました。

 しかし、これまでに各地の保健所に届いた調査票に、電話番号がなかったり、外国人入国者の場合、最初の宿泊先だけの記入だったりという記入不備もあったといい、帰国ラッシュを迎えた国内の健康観察にも不安がつきまとっています。



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