2009年5月5日(火)「しんぶん赤旗」
解雇手当を大幅増額
英・自動車部品労組が合意
1カ月の闘争実る
【ロンドン=小玉純一】自動車部品会社から解雇された英国の労働者が一カ月のたたかいをへて解雇手当の大幅増額を会社と合意しました。機械・電機・運輸部門の労働者を組織する英最大労組ユナイト(組合員二百万人)が一日、発表しました。
手当の増額を勝ち取ったのは、自動車部品会社ビステオンの英国三工場の労働者約六百人。うち五百人は、自動車大手フォードが三工場を手放した二〇〇〇年以前から働いてきた労働者で、英国メディアによると、剰員整理解雇手当の法定額に加えて週給五十二週分を勝ち取りました。その他、勤続年数の短い労働者は、法定額の十倍の手当を勝ち取りました。
ユナイトのデレク・シンプソン議長は「労働者と労組の誇りある瞬間だ。厳しい状況のもとでさえも正義を守るために立ち上がれば勝利することを示している」と語りました。
世界二十七カ国に展開するビステオンが三月三十一日、英国工場閉鎖に伴い労働者に予告なしで解雇を通告すると、北アイルランドのベルファスト工場の労働者が工場を夜通し占拠。ロンドン郊外のバシルトン、エンフィールドの二工場労働者もこれに続きました。
工場の破産管財人は、「工場が二〇〇〇年以来利益を出しておらず、そこに金融危機が重なった。閉鎖以外に選択肢は無い」として剰員整理解雇手当の法定額を提示。これに対し労働者側は「工場を再開しないなら解雇による損失を補償せよ」と主張してきました。
管財人は四月下旬、工場占拠中止を求め司法手続きに入りました。ロンドン郊外の工場労働者はピケを中止しましたが、ベルファストの労働者はピケを続け、司法手続きの途中に今回の妥結となりました。ベルファストの労働者は五月三日、会社と労組の妥結内容について採決し、一四七対三四で受け入れを決めました。
剰員整理解雇 事業の停止や仕事の停止に起因する解雇を指します。解雇した労働者に剰員整理手当を支払うことになっています。額は週給と勤続年数などによって計算されます。一九九六年の雇用権利法で定めています。
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