2009年5月3日(日)「しんぶん赤旗」

住居破壊の即時停止を

国連、イスラエルに要求


 【カイロ=松本眞志】国連人権高等弁務官は一日、イスラエル当局による東エルサレムでのパレスチナ人住居の破壊行為を即時停止するよう要求しました。国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告によると、千五百件の住居が破壊処分の命令を受け、実行された場合、九千人が退去を迫られるといいます。

 イスラエル側は、対象となっている住居が「エルサレム市」の許可なく建築されたものだとして破壊行為を正当化しています。これに対してOCHAの報告は、パレスチナ人が建築許可を得るための手続き行為から排除されていると指摘。「建築許可」のない住居が東エルサレムで現在28%を占め、これらの住居が破壊された場合、六万人のパレスチナ人が家を失うと試算しています。

 東エルサレムは、一九六七年の第三次中東戦争でイスラエルがパレスチナから奪った地域で、国際社会からイスラエル領と承認されておらず、行政命令自体が違法です。

 クリントン米国務長官は三月のイスラエル訪問で、住居破壊行為が中東和平の障害になるとの認識を示し、「無益なもの」と非難しました。パレスチナ自治政府は、東エルサレムを将来のパレスチナ国家の首都と位置づけ、ヨルダン川西岸とともに全面返還を求めています。


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