2009年5月1日(金)「しんぶん赤旗」
経済的理由で私立高中退
2年連続 高水準に
私教連調査
二〇〇八年度に経済的理由で私立高校を退学した生徒の割合が、二年連続で高い状態にあることが三十日、全国私立学校教職員組合連合(小村英一委員長)が発表した調査結果で明らかになりました。また、学費を納めていない生徒を留年・中退させたり、卒業証書を渡さなかったりする私立高校が五割あることがわかりました。
調査は回答のあった二十八都道府県・三百十五の私立高校(生徒数計約二十六万人)をまとめたもの。全国の私立高校千三百二十一校の約四分の一にあたります。
経済的理由で中退した生徒は五百十三人で対象生徒数の0・20%となりました。〇七年度の0・21%を若干下回ったものの、〇六年度の0・11%を大きく上回り、二年続いて極めて深刻な状況です。学費納入まで卒業証書を渡さず、進学・就職で必要な卒業証明書も発行しないなどの「保留」扱いとする高校は百四十六校に上り、うち六十九校は卒業式への出席を認めていませんでした。
経済的理由で中退した生徒のいる高校は42・5%(百三十四校)。学費を三カ月以上滞納している生徒がいる学校は66%(二百八校)に上りました。
私教連は、中退率が0・20%でとどまったのは、各私学による緊急貸出制度や教職員や父母、生徒によるさまざまな努力が反映した結果と分析しています。
制服を買うお金なく入学辞退
親がリストラ、年明け姿消す
▽親のリストラで生活が困窮し、授業料を7カ月滞納。家庭訪問などで対応していたが、年明けに急に姿が消え、住所なども不明。退学手続きもできず、近く除籍せざるを得ない。(北海道・東北地方)
▽入学時から生活が苦しく、市の奨学金も生活費に消えてしまい、卒業時5カ月分の滞納があり、卒業証書が預かりとなっている。父は年明けから仕事が全くない。(同)
▽母子家庭で3人姉妹。母親は外国人で、自動車関連会社を昨年解雇され、収入が減少。夜に働く仕事を始め、生計を支えているが、学費まで手が回らない。(愛知県)
▽入学金は払ったものの制服などを買うお金が準備できないと、3人が登校せず、入学辞退した。(近畿)
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