2009年4月30日(木)「しんぶん赤旗」

主張

「外需依存」是正

これではゆがみは直せない


 麻生内閣は二十七日、二〇〇九年度の経済成長率を実質でマイナス3・3%(名目でマイナス3・0%)とする経済見通しを発表しました。昨年十二月に実質ゼロ成長とした政府経済見通しを、大幅に下方修正したものです。

原因分析や反省がない

 今回の政府の見通しは、下方修正したとはいうものの、IMF(国際通貨基金)が二十二日に発表した世界経済見通しで、〇九年(暦年)の日本の実質成長率をマイナス6・2%としたのにくらべると、まだマイナス幅をかなり小幅に見込んでいます。その理由として政府は、追加経済対策の効果が七―九月以降あらわれて、成長率を1・9%押し上げることができるとしています。内需のうち政府支出が6・4%増え民間最終消費も0・3%のプラスに転じて、外需の低下を補うという見通しです。

 しかし、麻生内閣の経済対策には、日本経済が「外需依存」にゆがんだ原因の分析がまったく欠けており、「外需依存から内需中心に」是正するための根本的な政策転換の姿勢が見られません。

 たとえば、政府の経済対策では、「定額給付金」や自動車、家電製品の買い替え補助などのように、一時的“バラマキ”的な家計支援にはなっても、真に継続的に家計消費を盛り上げる政策が欠けています。麻生太郎首相は「安心・元気な健康長寿社会」対策も盛り込んだと言いますが、急務である後期高齢者医療制度の廃止や介護保険制度の抜本的改善などの政策には背を向けています。

 高齢者をはじめいま国民の家計にとって切実な要求は、生活必需品の消費税の軽減です。英国では、内需拡大のために昨年十一月に消費税率を引き下げ、続いてEU諸国も消費税減税で合意しています。ところが、麻生首相は、こうした世界の流れにまったく逆行して、「景気が回復したら消費税を含む税制改革」を「必ず実施する」などと増税路線を強調しています。これでは、内需に水をさすばかりです。

 政府の経済対策では、「アジアの内需拡大」もかかげていますが、巨大企業の米国依存の「市場拡大戦略」が破たんしたので、今度はアジア市場だという発想では、決して内需拡大の実現にはなりません。与謝野馨財務相は、政府見通しの根拠を問われて、「欧米金融機関の不良資産処理がうまく進むかなどが問題だ」などとのべました。思わず外需頼みの本音を示したものといえるでしょう。

 日本経済の「外需依存」体質を真に是正するには、これまでの対米従属一辺倒の為替政策(ドル追随)の反省も必要ですが、麻生首相は相変わらず「基軸通貨ドル」をとなえるだけで、国際的に新たな通貨体制を模索する動きへ対応する積極的構えもありません。

「ルールなき資本主義」

 「外需依存」是正のためには、日本経済のゆがみの根源の一つである「ルールなき資本主義」の是正が必要です。ワーキングプア(働く貧困層)の増大が家計消費を冷え込ませ、内需停滞の大きな要因になっているからです。

 たとえば派遣労働を原則自由化した一九九九年以前に戻し、派遣法を抜本改正して雇用の流れを非正規から正規へ転換すれば、家計の購買力拡大と内需の活性化につながるのはまちがいありません。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp