2009年4月30日(木)「しんぶん赤旗」
検疫官 足りない
全国にわずか358人
新型インフルエンザの警戒レベル引き上げ後初めてとなるメキシコからの直行便が成田空港に到着した二十九日、検疫官らが機内検疫などに追われました。横浜港へ入港した船舶でも同日、検疫官「臨船検疫」も始まりました。しかし、全国の検疫官はわずか三百五十八人(二〇〇九年度)程度で、「水際対策」は深刻な人手不足です。
政府は、メキシコ、米国、カナダから成田、関西、中部の三空港に到着した航空便について、乗客を機内で健康チェックする「機内検疫」を二十八日からスタートさせました。新型インフルエンザ発生時、旅客機、客船を成田など国内四空港と横浜港など三港の重要拠点に集約し、全国の検疫官を集中させて水際検疫強化を行うという新型インフルエンザ対策ガイドラインに沿った措置です。
しかし、全国の検疫官は二〇〇五年度の三百六十七人をピークに減少し、一九九八年の水準です。
このため成田空港や関西空港では近隣の検疫所の応援で対応しています。一方、新型インフルエンザの発生国からの貨物船は検疫強化港以外への入港が認められています。各地の検疫所から重要拠点に応援をだす結果、拠点以外のチェック体制が手薄になる事態も懸念されています。
舛添要一厚労相は、二十八日の閣議後の会見で「検疫官の数が足りるのかどうか、非常に懸念を持っている」と表明。「専門的な知識と能力がないと検疫官は務まらず、急に増やすわけにはいかない。どういう形で各地にいる検疫官を集中させたらいいのか」と語りました。抜本的増員が求められていた検疫官を減らした自民・公明政権の無責任な姿勢があらためて問われています。