2009年4月27日(月)「しんぶん赤旗」

主張

郵便不正

障害者を食い物の犯罪糾明を


 障害者団体の活動のために一般より郵便料金を安くしている制度を悪用して巨額の負担を免れていた疑いで、大手家電販売店や広告代理店、印刷会社、自称障害者団体の関係者らが逮捕されました。逮捕に至らないまでも、悪用と見なされ、利用を取り消されるなどの例も相次いでいます。

 障害者とその家族にとって、団体から届く機関紙などは外部の情報を入手するかけがえのない手段です。障害者のための制度を悪用してもうけるなどというのは、文字通り障害者を食い物にする卑劣な犯罪です。真相と責任の徹底追及が欠かせません。

事件は氷山の一角

 大阪地検特捜部に逮捕されたのは大手家電販売店「ベスト電器」や広告代理店「博報堂」子会社らの関係者です。通常なら一通百二十円かかる郵便料金が最低八円になる障害者用の郵便制度を悪用しようと、東京の自称障害者団体「白山会」の名前を使い、「ベスト電器」の広告を一千万通以上も大量に送り、総額約十三億円を不当にもうけたとみられています。

 「白山会」には障害者団体としての実体はなかったともいわれます。まさに障害者のための制度を悪用して大もうけした悪質な事件であり、被害者はまじめに活動している障害者団体と障害者自身、それに高い郵便料金を負担している国民です。犯罪はきびしく糾弾されなければなりません。

 しかも事件はあくまでも氷山の一角です。障害者向けの郵便制度をめぐる不正が最初に表面化したのは昨年十月で、今回も関係者が逮捕された大手印刷会社が過去四年間にわたって制度を悪用していたと報じられてからです。その後、日本郵便会社などの調査で制度の悪用や、条件を満たしていない例が次々明らかになりました。とくに悪用が確認された二十一件のうち、年間の差し出しが百万通を超していたのが十六件もあったというのですから、組織的に悪用されていたことは明らかです。関係者の逮捕に至った「ベスト電器」の事件にとどまらず、悪質な不正は徹底的に追及すべきです。

 この問題では日本郵便会社の責任も重大です。なぜ長年にわたって不正が見抜けなかったのか。障害者団体が十万、百万単位という大量の郵便物を差し出しているということだけでも、異常に気づく機会はいくらでもあったはずです。それどころか「ベスト電器」の事件では、埼玉県内の郵便局で断られた郵便物を、東京都内の支社が引き受けていました。不正への関与はなかったのか、日本郵便は事態を被害者顔ですまさず、みずから真実を明らかにすべきです。

疑惑解明は国民への責任

 事件との関係では、「白山会」側から献金を受けとるなど密接な関係にあり、競合する企業の不正を国会で追及し、「白山会」の差し出しを日本郵便支社に認めさせる際には政策秘書を同行させていたなど、民主党議員の関与も取りざたされています。卑劣な犯罪に手を貸していたとすれば、それこそ言語道断です。疑惑を抱かれた議員が進んで答えるとともに、民主党自身が政党としての責任で疑惑を解明することが不可欠です。

 郵便事業はもともと国民の共有財産です。「かんぽの宿」の安値売却などの疑惑を含め不正は徹底して正すのが国民への責任です。


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