2009年4月19日(日)「しんぶん赤旗」

主張

クラスター爆弾

全面禁止の実現へ役割果たせ


 クラスター爆弾禁止条約の審議が来週半ばから始まり、早期に国会承認される見通しです。

 条約は一部の最新型爆弾を除いてほとんどのクラスター爆弾を禁止対象にしています。全体の九割が禁止対象といいます。大きな成果であり、日本の加盟は当然です。しかし自衛隊がもつ爆弾を廃棄すればそれで終わりというわけにはいきません。クラスター爆弾の保有・使用を不可能にする国際世論をひろげ、アメリカなどの保有大国を全面禁止の方向に追い詰めていく役割が待っています。爆弾の保有に固執してきた日本政府の態度が問われています。

廃棄処分で終わらない

 クラスター爆弾は、 一つの親爆弾からばらまかれた数百個の子爆弾のうち相当な数が不発弾として地上に残り、握ったり踏みつけたりすると爆発し、市民や子どもらを殺傷する非人道兵器です。国際人道法に反する兵器を長い間持ち続けた政府の責任は重大です。

 政府は、条約への加盟後自衛隊のクラスター爆弾を廃棄し、禁止対象外の最新型も「使わない」といっています(浜田靖一防衛相、二〇〇八年十一月二十八日)。国内外の全面禁止要求を無視できなかったことを示すものです。

 問題は日本政府が条約を完全実施する立場に立つかどうかです。

 在日米軍は日本にクラスター爆弾を保有し、沖縄などで投下訓練を続けています。禁止条約に日本が加盟する以上、条約で禁止されるクラスター爆弾を米軍が日本領土内に保有し、海外で使用する備えをしていることを認めるのは、条約の趣旨に反します。アメリカは条約に入っていないといって放置することは許されません。

 オバマ米大統領は、禁止条約が問題にする不発率の高いクラスター爆弾の輸出禁止をもりこんだ予算案に署名しました。だとすればアメリカ政府は、日本からクラスター爆弾を撤去させるべきだし、日本政府もただちに撤去をアメリカに要求すべきです。

 クラスター爆弾を使う米軍との共同作戦も問題です。米軍はベトナムであれイラクであれ、侵略のさいにこの爆弾を多用しています。条約に加盟した以上、日本政府がクラスター爆弾を使った日米共同作戦を見直すのは当然です。

 条約は有志連合諸国のイニシアチブで作られました。アメリカや日本などは国連特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)締約国会議でクラスター爆弾の温存を策動してきました。保有大国は禁止条約の作成に直面して、慌てて「規制」案をとりまとめようとしましたが、禁止条約を骨抜きにする案が受け入れられるはずはありません。とん挫したままです。日本政府は禁止条約に加盟する以上、CCWで果たしてきた温存策動をきっぱり清算し、世界からすべてのクラスター爆弾を一掃するために外交的努力をつくすべきです。

非人道兵器禁止拡大を

 対人地雷禁止条約に続くクラスター爆弾禁止条約の意義はきわめて重大です。アメリカなどの軍事大国は、抑止力だといって核兵器や劣化ウラン弾、白リン弾をはじめとした非人道兵器に固執しています。非人道兵器は全面禁止するしかありません。

 日本は、戦争を禁止した憲法九条を持つ国として、その実現に力をつくす必要があります。


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