2009年4月16日(木)「しんぶん赤旗」
主張
税制プログラム改定
本末転倒の家計へのしわ寄せ
税制の「中期プログラム」を改定する政府・与党の方針について、与謝野馨財務相が早期に具体化すると繰り返し表明しています。
中期プログラムは、全額を「社会保障の財源」に充てるとして、二〇一一年度からの消費税増税を掲げています。政府・与党は「経済危機対策」に、国債の増発で積み上がる財政赤字の手当てとして、税制の中期プログラムを早急に改定すると盛り込みました。
政府・与党の方針は浪費のツケを消費税で国民に回す許しがたいやり方であり、改めて「社会保障の財源」が増税の口実にすぎないことを浮き彫りにしています。
ツケは全部消費税で
麻生太郎首相は記者会見で、「累次の経済対策」による赤字と景気悪化による「税収の落ち込み」を「考えて」、中期プログラムを「見直す必要がある」とのべました。麻生首相や与謝野財務相の発言は、財政悪化のしわ寄せをすべて消費税増税で国民に転嫁する姿勢です。
自公政府の経済対策には、まじめに庶民の暮らしを応援する姿勢がまったくありません。
これまでの対策の柱は、銀行への十二兆円の公的資金の投入、大企業向けの新たな減税、証券優遇税制の延長など大企業と銀行、大資産家応援です。選挙めあての給付金はばらまいても、大企業の「派遣切り」や大銀行の「貸し渋り」をやめさせもせず、社会保障の抑制方針は続ける、ふまじめ極まりない内容です。
今回の「経済危機対策」も、中小企業には仕事が回らない大型事業、株の買い取り、贈与税減税など大企業・大銀行、大資産家の応援策が並びます。庶民の暮らしに関する施策は一年限りです。自動車が必需品の地方でも所得低迷で買えない人が増えているのに、高額なエコカーへの買い替えに補助金を出すなど、深刻な暮らしへの目線がみじんも感じられません。
「『お金持ちの気持ちが分かる総理大臣』が考えた」対策にすぎないと、民間の経済専門家が批判しているほどです。ある経済専門誌では、「経済対策は政権の支持率回復の道具でしかない」という経済官庁幹部の「愚痴」を紹介しています。こんな、庶民をないがしろにしたばらまきのツケを、低所得者ほど所得に対する負担割合が重い消費税の増税で、庶民に払わせようというのは本末転倒です。
消費税は力の強い大企業は実質的に一円も負担しないばかりか、トヨタなど輸出大企業は輸出品の税額還付まで受ける大企業優遇・輸出優遇の税制です。地域経済を支えてきた中小企業は、これら輸出大企業のリストラのしわ寄せで法律違反の一方的な発注カット、単価切り下げに苦しんでいます。
こうして赤字を余儀なくされる中小企業も、消費税は身銭を切って納税させられる理不尽な税金です。その上、大企業・大銀行応援のツケまで回すなど、認められるわけがありません。
軸足を家計・内需に
暮らしと経済を立て直すためには、経済政策の軸足を輸出大企業から家計・内需に移すべきです。
そのためにも中期プログラムを撤回させ、大企業・大資産家に応分の負担を求めるとともに、消費税の減税を皮切りに、内需を冷やす消費税に頼らない税制へと抜本転換していく必要があります。