2009年4月15日(水)「しんぶん赤旗」
グアム協定・「海賊対処」法案
軍事同盟強化 審議急ぐ
与党・民主 なれ合い
自民・公明の与党は14日の衆院本会議で、米軍再編と自衛隊の海外派兵拡大という日米軍事同盟強化に向けた異常な動きを相次いで強行しました。一つは、「在沖縄米海兵隊グアム移転協定」の衆院通過で、その重大な内容にもかかわらず委員会での審議はわずか3日間でした。もう一つは、「海賊対処」派兵新法案の審議入りで、与党は月内の早期衆院通過を狙っており、危険な動きとなっています。(榎本好孝)
国民への3大害悪
「グアム移転協定」は、「沖縄県民と日本国民にとって三つの大害悪」(日本共産党の志位和夫委員長)をもたらす協定です。
具体的には、(1)沖縄の海兵隊普天間基地に代わる新基地建設を名護市辺野古沿岸部で進める(2)「海兵隊員八千人削減」という宣伝はまったくのうそであり、沖縄に一万人の戦闘部隊を残す(3)六千億円にも上る日本国民の税金を外国領土(米領グアム)の基地のために使うという世界に類例のないことを行い、その上、海兵隊の訓練・移動費用など際限のない負担増を強いる―という内容です。
普天間基地を抱える宜野湾市の伊波洋一市長は「(政府の答弁は)沖縄県民の多くにとって到底納得できるものではなく、憤慨するでしょう」とまで述べ、委員会審議を尽くすよう求めていました。(八日の衆院外務委員会参考人質疑)
ところが与党は、沖縄県民の声に耳を傾けることなく委員会審議を打ち切り、採決を強行(十日)。民主党も協定には反対しつつ、採決を容認しました。
海外での武力行使
「海賊対処」派兵新法案も、強行を許せば日本の将来に重大な禍根を残す法案です。
日本共産党の赤嶺政賢議員が十四日の衆院本会議で告発したように、憲法九条が禁ずる自衛隊の海外での武力行使と、海外派兵恒久法に道を開くものです。
同法案は、▽「海賊対処」という新たな海外任務を自衛隊に与え、派遣規模も、活動の地理的範囲も無限定で、政府の一存で世界の海のどこにでも派兵できる▽これまでの自衛隊の海外派兵では「武器使用」は「隊員の生命・身体の防護」を原則にしてきたのに、「海賊対処」という「任務遂行のための武器使用」にまで踏み込む―という内容となっています。
「武器使用」の問題では、「海賊行為」を制止するための危害射撃を認め、自衛隊が戦後初めて海外で人を殺傷する事態を引き起こす現実的な危険があります。
与党は同法案を審議する特別委員会を連日開催する構えで、早期採決を狙っています。これに対し民主党は与党との「修正」協議に入る方針です。しかし、自衛隊の派兵そのものや「武器使用」の拡大については「修正」を求めず、容認しています。
与党と民主党とのなれ合い協議を許さず、徹底した審議を行うことが必要です。