2009年4月14日(火)「しんぶん赤旗」

タイ軍、デモ隊排除

90人負傷 首都に非常事態宣言


 【バンコク=井上歩】タイのアピシット首相の退陣を求めるタクシン元首相派の反政府団体は十二、十三の両日、首都バンコクでデモや道路の封鎖などを続けました。アピシット首相は十二日にバンコクと周辺地域に非常事態を宣言し国軍を投入。デモ隊の排除に乗り出し、各地でデモ隊と激しい衝突を繰り広げました。

 十一日に中部パタヤで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議を中止に追い込んだタクシン派の「反独裁民主同盟」と「赤シャツ集団」は十三日、バンコクで首相府周辺や幹線道路十数カ所を封鎖。地元メディアなどによると、同日未明に国軍が道路封鎖中のデモ隊排除に乗り出し、威嚇発砲し催涙弾を発射。デモ隊も火炎瓶や投石などで応酬し、双方あわせて九十人以上が負傷しました。

 軍は十三日午後も市内数カ所でデモ隊を強制排除。各地で衝突があったとみられ、爆発音が聞こえました。国軍は赤シャツ集団の本拠地である首相府周辺に展開し、四千―五千人のデモ隊とにらみあっています。近くのビルがデモ隊の火炎瓶で炎上中だといいます。

 デモ隊は十二日に内務省でアピシット首相の車を襲撃したといいます。投石や火炎瓶のほか、バスの放火や暴走、ガス運送車両の配置など、行動を過激化させています。

 海外に事実上の亡命中のタクシン元首相は十二日、デモへの電話メッセージで「市民革命のときだ」などと述べ、デモの拡大を呼びかけました。国内では昨年の司法判断で政権を奪われたタクシン派が復権を目指し、「決戦」に出たとの見方があります。タクシン派は一月の補選で敗れるなど手詰まりになりつつありました。

 アピシット首相はタクシン派の行動を違法と非難、「可能な限りはやく秩序を回復する」と表明しました。

 タイは十三日に旧正月(ソンクラン)に入りましたが、バンコク市内はデモ隊のいる一部地区を除いて閑散としています。


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