2009年4月14日(火)「しんぶん赤旗」
主張
女性差別撤廃条約30年
世界で当たり前のルールを
ことしは国連女性差別撤廃条約が採択されて三十年です。七月二十三日には国連女性差別撤廃委員会で日本政府の第六回のとりくみ状況報告審査もおこなわれます。
世界は改善の努力と模索
差別に苦しみ続けてきた女性は、男女平等を世界の共通のルールとし、差別をなくし平等を推進するしくみを定めた条約の誕生を喜びをもって迎えたのでした。
ヨーロッパなどでは、女性差別撤廃条約やILO(国際労働機関)条約などにそった改善を進めています。職場の平等、家事や育児の負担解決のルールの確立・充実、政治参加の促進など、改善への本気の努力と模索がみられます。
日本の男女平等の到達は世界から大きく立ち遅れ、女性の社会進出は百八カ国中五十八位、主要先進国で最低です。賃金格差は非正規を含めれば男性の五割、管理職は一割、妊娠・出産で七割が仕事をやめざるをえない現状です。
日本政府は、女性差別撤廃委員会によってとりくみ状況の審査がおこなわれるたびに厳しい改善勧告を受けてきました。
前回(二〇〇三年)審査で示された懸念・要請・勧告は二十二項目に上ります。賃金格差・パート・派遣の問題、法律への「差別の定義」の盛り込み、仕事と家庭の両立の対策、民法の差別規定の廃止、意思決定機関への参画など多岐にわたります。女性たちが政府に強く求めている問題の一つ、選択議定書の批准の検討も含まれています。個人・集団が権利侵害を国連に直接通報でき、調査・救済も可能な制度であり、すでに九十六カ国が批准しています。
問われているのは、世界で当たり前の男女平等の流れに逆らい、異常な遅れをそのままにしている日本の政治と社会です。
異常な遅れの根にあるのは、女性を安く使いたい、妊娠・出産した女性は企業の不利益とばかりに退職を迫るなど、大企業・財界のもうけ最優先の立場です。社会全体が直面している「ルールなき資本主義」そのものです。また大企業・財界いいなりの政府は、男女平等の問題でも、法改定はおこなうが、差別を改善する実効ある措置をとろうとはしません。
遅れのもう一つの要因は、かつての侵略戦争とその時代を理想として、女性差別撤廃条約や憲法の男女平等の規定に反対する「靖国派」が、政界で大手をふっていることです。選択的夫婦別姓にも、「家庭を壊す」などの理由をあげて反対を続けています。
「家事や育児は女性の仕事」―男女の役割を固定的に見る意識など社会の遅れも残されています。
実質的な平等めざして
条約が掲げているのは、あらゆる分野での実質的な平等の実現です。条約批准国は実施責任を負います。政府は世界の到達から真摯(しんし)に学び、条約が掲げる目標とルールに基づく具体化に真剣にとりくむべきです。すでに参議院が全会一致で請願採択をしている選択議定書の批准もその一つです。
世界でも異常な日本の女性差別の打開は、国民的な最重要の課題です。日本共産党はだれもが人間らしく生きることが大切にされる社会、男女平等の実現のため、憲法と女性差別撤廃条約に基づく人権と民主主義の前進、「ルールある経済社会」をつくる民主的改革めざし力をつくします。