2009年4月12日(日)「しんぶん赤旗」
米軍の横暴、新基地建設を許さない
沖縄・石垣市 志位委員長の会見
十一日に沖縄県石垣市入りした日本共産党の志位和夫委員長は、同市内で記者会見しました。会見内容(要旨)を紹介します。
さきほど、大M長照石垣市長にお会いし、米軍艦の強行寄港に断固として反対をつらぬいてきた市長に敬意を申し上げるとともに、ともにたたかう連帯の気持ちをお伝えしました。沖縄の基地問題は、いまたいへん重要な局面にさしかかっていると思います。わが党の立場について、のべるものです。
米軍艦の石垣島強行入港――軍事利用への地ならし許せない
こちらにうかがい、「米軍再編」がすすめられるもとで、この間、沖縄では米軍の横暴勝手が相次ぎ、それへの日本政府の言いなりの姿勢も含めて、県民のなかに深い怒りが広がっていることを、あらためて痛感しています。金武町伊芸区での米軍流弾事件、東村のヘリパッド建設の強行、そして石垣島への米軍艦強行入港です。
大M市長とお会いして、四月三日、石垣島に米軍艦が強行寄港したことに対する、たいへん強い怒りの気持ちをお聞きしました。石垣島は、古くから日本最南端の国境の町として栄え、素晴らしい自然と文化、本来の沖縄の姿が息づく島です。同時に、石垣島は、太平洋戦争では、直接の地上戦こそなかったものの、日本軍の命令によって島民が山岳部に強制移動させられ、マラリアによって三千七百人が命を落とすという大きな被害に見舞われ、それだけに平和を強く希求する島です。そして石垣港は、民間船舶でごったがえす全国でもまれな過密な港です。そういう島に、大M市長の再三の中止要求を無視して、米軍艦が強行寄港したことに、私は、強く抗議するものです。
米軍は、日米地位協定の「事前通告」を盾に寄港を強行しました。しかし、現行地位協定でも「地方自治体の意向は尊重する」ことは、「非核神戸方式」をとっている神戸港などでの対応で、政府も認めてきたことです。憲法九条の精神、非核三原則にもとづき、平和と繁栄をもたらすための港湾の利用促進を「平和港湾宣言」として内外に明らかにしている石垣市の反対の声を無視することは、絶対に許されるものではありません。
米軍は「友好と親善」「休養」が目的といいましたが、軍隊との「友好」など誰ものぞまない、「休養」なら自分の国でしてほしいというのが、現地のみなさんの気持ちです。ケビン・メア米沖縄総領事は、抗議する市民を警察官を盾に押しのけ、「ばかやろう」と外交官にあるまじき下劣な言葉でののしったといいます。米軍は、「いしがき女性9条の会」が掲示していた「軍艦はいらない 米軍ノー」の横断幕を持ち去ったといいます。メア氏は「ごみを片付けただけ」という侮辱的発言もおこないました。「友好と親善」のかけらもない態度といわなければなりません。
米軍艦の寄港の本当の目的は、戦争のさいに軍港として使うための調査です。軍事利用への地ならしをしようというのです。全国の民間港湾でも、この八年間に三十五港、のべ百六十八隻の米軍艦が、寄港しています。本土でも、沖縄でも、「米軍再編」の掛け声のもとで、日本列島を戦争に総動員する準備をすすめようとしていることは許せません。わが党は、「米軍艦船は二度と来るな、軍事利用は絶対に許すな、日米地位協定の改定を」という県民・島民の声に固く連帯してたたかいます。
「グアム移転協定」――3つの大害悪をもたらす計画に反対をつらぬく
政府・与党によって「グアム移転協定」の採決が、十日、衆議院外務委員会で強行されました。これは、沖縄県民と日本国民にとって三つの大害悪をもたらすものであり、しかもそのすべてが嘘(うそ)でかためられたものです。
第一に、在沖縄海兵隊の「グアム移転」の条件として、沖縄・辺野古沖に海兵隊の新基地建設をすすめることになっている、「パッケージ」論となっている、これは絶対に許しがたいということです。新基地建設が何をもたらすか。防衛省が四月一日に環境アセス準備書を発表していますが、これは嘘だらけというしろものです。
先日、衆院外務委員会に、桜井国俊沖縄大学長が参考人として出席し、「アセスとして認められない」と痛烈な批判をおこなっています。(1)アセスに入る前に、海上自衛隊の掃海母艦まで繰り出して、非暴力で反対する市民を威嚇しながら大がかりな事前調査をおこない、そこでジュゴンを威嚇する形でビデオカメラを設置し、ジュゴンを追い払ったうえで「ジュゴンはいない」としていること(2)埋め立て用土砂は、全国での採取量の一・一四倍にも達し、それが沖縄沿岸、海浜環境にもたらす影響ははかりしれないのに、影響評価がされていないこと(3)米軍機がおこなう「タッチ・アンド・ゴー」などについて全く触れず、騒音のレベルを示す絵が調査する前にできている、できレースで全くの醜態をさらすものとなっていることなどをきびしく批判しています。
こういう準備書が、四月一日、「エープリルフール」の日に出された。悪い冗談ではないかという内容です。嘘でかためた偽アセスで県民をあざむき、新基地をおしつける。どこの国の政府かといいたいと思います。
SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)以来、十三年たつのに、普天間基地はそのままです。県内たらい回しでは解決しないことは歴史が証明しており、無条件で撤去することこそ解決の唯一の道です。
同時に、普天間基地の現状は一刻も放置できません。先日、宜野湾市の伊波市長にお会いしたさい、普天間基地の実態について、滑走路の両端で一切の障害物を除去するために設置すべきクリアゾーンが民間地区に大きく張り出し、小学校、児童館、公民館、多数の住宅がそのなかにあり、米軍基準に違反していることを訴えておられました。危険きわまりない基地は即時、無条件閉鎖が必要です。
第二に、「沖縄県民の負担軽減」という口実もまったくの嘘いつわりだということが明らかになりました。とくに、「在沖海兵隊を八千人減らす」という宣伝はまったくの嘘です。米軍は「一万人の戦闘部隊は残す」という。現在、沖縄に駐留する海兵隊は一万二千人程度です。そうすると減らすのは二千人程度ということになる。しかも、グリーン在日米大使館・安全保障課長によると、「一万人を下回ったら、他から海兵隊が来る」ということです。
第三は、とめどもない税金投入です。六千億円という日本国民の税金が、外国領土の基地のために使われることは、世界に類のない異常きわまりないことです。しかも、海兵隊の移転にかかわる費用だけでない。海軍、空軍施設建設、海兵隊の訓練・移動費用まで使われることが明らかになりました。いったん出し始めたらとめどもない。ここでも嘘であざむいて、国民に際限ない負担増を強いろうとしている。
わが党は、嘘でかためた三つの大害悪をもたらす「グアム協定」の強行阻止のために最後まで頑張り抜きます。たとえ協定が強行されても、嘘は弱い。新基地建設は絶対に許さない強い決意をもって連帯してたたかいぬきます。
日本共産党をのばして、基地のない平和な沖縄を
沖縄県民のたたかいは、SACO合意以降十三年、新基地建設のために杭(くい)一本打たせてきませんでした。基地の県内たらい回し――SACO路線の破綻(はたん)はいまや明らかです。昨年の県議選では、日本共産党が三議席から五議席に躍進して県議会での新基地建設の反対決議が可決されました。
県民が心を一つにして団結してたたかえば、勝利への道は開かれます。そして、総選挙では、SACO合意がかわされた当初から、その害悪をみぬいて唯一反対をつらぬいた日本共産党、基地の苦しみの根源にある日米安保条約をなくすことを主張しつづけている日本共産党をのばすことこそ、基地のない平和な沖縄へのいちばんたしかな力になることを、大いに訴えてたたかいます。