2009年4月12日(日)「しんぶん赤旗」

主張

グアム「移転」協定

国民欺く負担押し付け撤回を


 沖縄に駐留する米海兵隊のグアムへの「移転」を口実に、日本に巨額の財政負担を押し付ける協定が、衆院外務委員会で自民・公明の与党の賛成で可決されました。民主は協定には反対しましたが、採決そのものは容認しました。

 協定は、外国の軍隊が外国の領土で軍事基地をつくるために日本が負担するという、世界に例のない異常を押し付けるものです。しかも沖縄での米軍の新基地建設と一体にされ、県民の負担を軽減するどころか、より重くするものです。このまま成立させるなどというのは、容認できません。

うそで固めた協定

 委員会で可決された協定は週明け十四日にも衆院本会議に上程されます。国際条約にあたるというので、衆院で可決されれば参院で可決しなくても三十日後には承認したことにされてしまいます。衆院での可決を許さないとともに、参院でも徹底追及し、たとえ成立が強行されても実施を許さないたたかいが重要です。

 衆院の委員会での協定の審議はわずか三日足らずしかおこなわれませんでした。その中でも浮き彫りになったのは、政府の説明がうそだらけだということです。

 たとえば、グアムに移転する米海兵隊の基地建設のために日本が二十八億ドル(現在の為替相場では約二千八百億円)もの税金を投入すること自体異常このうえないものですが、いったん協定が成立すれば負担はそれにとどまらず、際限なく膨らむ恐れがあることが明らかになりました。

 日本国民の税金で建設するのは「移転」する海兵隊の施設だけではありません。海軍や空軍を含めたグアムの米軍施設の大増強です。費用のうち日本が財政負担するのは二十八億ドルですが、それ以外にも「融資」や「出資」するという約三十三億ドルも焦げ付けば、税金で穴埋めすることになります。さらに今回「移転」するのは海兵隊の司令部機能だけなので、沖縄に残る実戦部隊がグアムで訓練すれば、その費用も日本もちです。負担が膨らむのは必至です。

 協定が盛り込んだ米海兵隊の要員八千人、家族を含めれば一万七千人の「移転」という計画自体、大幅に水増しされていることも明らかになりました。現在沖縄には海兵隊は一万二、三千人しかおらず、一万人以下にはしない方針なので、せいぜい二、三千人の削減にしかならないというのです。これで負担軽減とは、聞いてあきれます。

 だいたい、今回の海兵隊「移転」が沖縄の負担軽減にならないことは、新基地建設の「具体的な進展」と一体になっていることで明らかでした。新基地が建設されれば、負担が増えるのは目に見えています。「移転」と一体で新基地建設を進めること自体、許すことのできないごまかしです。

「再編」でなく撤退こそ

 政府がこうしたうそで固めた協定をなんとしても押し通そうというのは、アメリカとの約束は何が何でも守ろうという屈辱的な態度を示すものでしかありません。

 もともと「米軍再編」は、世界のどこでも「先制攻撃」ができるよう、米軍の態勢を強化するものです。いくらうそで固めても国民には通用しません。協定は撤回し、県民の負担軽減には、米軍の「再編」ではなく、撤退・縮小を求めていくことこそ重要です。


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