2009年4月10日(金)「しんぶん赤旗」
主張
違法献金
現職閣僚の疑惑、徹底追及を
準大手ゼネコン・西松建設の違法献金疑惑に関連して、現職の経済産業大臣である二階俊博氏周辺への捜査が取りざたされています。違法献金事件として関係者が立件されれば、政治家では、秘書が逮捕・起訴された小沢一郎民主党代表に次ぐことになります。
二階氏は現職の大臣であるとともに、国民に選ばれた国会議員であり、自民党の実力者の一人です。刑事責任だけでなく、政治的・道義的責任に照らしても、疑惑の究明と責任の明確化は免れません。
事務所家賃を迂回(うかい)献金?
二階氏が長年にわたって西松建設から巨額の政治献金を受け取っていたことは、すでに明らかになっている周知の事実です。
たとえば二階氏の資金管理団体「新政経研究会」は「西松」がダミー(隠れみの)に使った政治団体「新政治問題研究会」から一九九〇年代に合計三回七百八十万円の献金を受け取っています。他人名義での献金は政治資金規正法に違反し、「西松」からの献金だと知っていれば収支報告の虚偽記載にあたります。また、二階氏の政治団体(派閥)の「新しい波」は二〇〇六年までの三年間に「西松」のダミーの政治団体に合計八百三十六万円のパーティー券を買ってもらっています。これも「西松」と知っていれば、パーティー券購入の限度額などに違反します。
これに加えて、政治資金規正法で禁止された政治家個人への企業献金の疑いが急浮上し、捜査との関連も取りざたされているのが、二階氏が関連する政治団体の家賃問題です。二階氏の実弟が実質的に運営する政治団体「関西新風会」事務所の年間二百八十万円の家賃を、二階氏が代表の政党支部への「個人献金」を装う形で「西松」が実質的に肩代わりしていた疑惑です。政党支部を「迂回」しても、実質的に「西松」の献金なら政治資金規正法に違反することになり、手が込んでいるだけに「悪質」とみなされる可能性があります。
二階氏は経済産業相就任以前も運輸相(現国土交通相)を務めるなど、自民党内では「運輸族」として知られる実力者です。「西松」はそうした二階氏への献金と引き換えに、二階氏の地元・和歌山県内での公共事業だけでなく、南紀白浜空港、関西空港二期工事、羽田空港関連工事などでの便宜を得てきたという指摘もあります。
現に「西松」の関係者がかつて「二階さんには和歌山で大変お世話になっている」と語っていたことを、「しんぶん赤旗」日曜版(十二日号)が伝えています。あっせん収賄などの罪にも問われる疑惑であり、二階氏にかかわる疑惑は徹底して究明されるべきです。
疑惑解明は政治家の責任
もちろん、犯罪か否かの以前に、現職閣僚であり国会議員である二階氏が政治資金をめぐって疑惑を取りざたされていること自体、軽々にすませてよいことではありません。国会の政治倫理綱領は、疑惑を抱かれた政治家に自ら解明の努力を求め、政治資金規正法は、政治家が政治資金を公開し、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」ことを目的としています。
二階氏が疑惑に答えずすまそうとするのは、こうした制度の根幹を危うくします。小沢氏同様二階氏も、政治家としての資格が問われていることを銘記すべきです。