2009年4月8日(水)「しんぶん赤旗」
F22調達中止提案
米国防長官 MD費削減も
【ワシントン=小林俊哉】ゲーツ米国防長官は六日、ワシントンでの記者会見で国防費見直し策を発表し、日本の航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の有力候補である空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22の調達中止を提案しました。また、ミサイル防衛(MD)経費などを削減するとしています。一方で、イラク、アフガニスタン向けの装備は拡充する計画です。
オバマ政権は、厳しい財政事情から国防費の見直しを進めてきました。ゲーツ氏は、F22を百八十七機で調達中止とすることをはじめ、MD経費の十四億ドル削減、新たな大統領専用ヘリ計画の中止などを表明しました。
一方で、無人偵察機の購入など、情報・調査関連経費の二十億ドル規模の増額、百十二億ドルに上る統合打撃戦闘機F35三十機の購入などを提案しました。
同長官は、国防費の見直しについて、「いま現在たたかっている戦争と、今後数年間でもっともありうるシナリオに対処する能力を強める」ためだと説明。財政的な圧迫の中でも、イラク、アフガニスタン戦争のために、限られた資源を集中する考えを示しました。
同時に、「米国の防衛体制の優先順位を再編する」とも述べ、従来のような国家間戦争に備えた「通常戦力」の増強だけではなく、対テロ、対ゲリラ向けの「非通常戦力」の増強など、安全保障環境の変化に対応した見直しであることもにじませました。
核兵器については、四年に一度行う国防計画の見直し報告(QDR)や、核態勢見直し報告(NPR)などで、すべての戦略的要請について精査するとしました。
ゲーツ長官は、同見直し策をオバマ大統領に提言しますが、国防予算の最終決定権は議会にあります。議会内では、F22を生産するロッキード・マーチン社など軍需産業の意をくんで、国防費削減に反対する民主・共和両党にまたがる勢力が存在します。