2009年4月8日(水)「しんぶん赤旗」
主張
退学・入学辞退増
国の責任で学生救う緊急策を
昨年来の景気の急激な悪化のもとで、経済的な理由による入学辞退や退学・休学が急増し大学教育に深刻な影響がうまれています。
全日本教職員組合などが設けた教育費ホットラインには「親の収入が三割も減った。休学するしかない」「会社倒産で職を失った。学費が払えない」など、切実な声があいついで寄せられています。
憲法・教育基本法に反し
「しんぶん赤旗」が国公私立の大学に行ったアンケート調査でも、回答のあった百七十五大学のうち一割を超える大学が「退学・休学・入学辞退が増えた」と答え、六割の大学が「授業料や奨学金の相談が増えた」と答えています(五日付既報)。憲法・教育基本法が、「ひとしく教育を受ける権利」を保障しているもとで、絶対にあってはならない事態です。
日本共産党が「学費提言」(「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」昨年四月発表)でよびかけた諸方策の実現が、いよいよ求められています。
こうしたなかで、学生への緊急支援の措置を新たにこうじる大学が確実に広がっています。本紙の調査でも、三割の大学が「実施している」と答え、「検討している」大学を加えると五割にのぼります。家計の急変によって学費を納入できない学生に学費を減免したり、給付制奨学金を支給するなどの制度を拡充した大学は、三十五校にのぼります。
このうち私立大学は二十六校です。二年連続で学費を見直し、三十万円近く値下げするなど、学生全体の負担軽減に踏み出した私立大学もあります。学費が相対的に高い私大で軽減策が積極的にとられていることがうかがえます。
しかし、各大学の新たな支援策は身銭を切ってのものであり、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすには限界があります。学費減免制度を新設したある大学では応募者が殺到し、優秀な若者を救いきれなかったといいます。
肝心なのは、国の対応です。本紙への回答でも、九割を超える大学が国や自治体に援助の強化を求めています。七割の大学が無利子奨学金の拡充を求め、五割が、学費減免や独自の奨学金に対する国の支援の拡充を求めています。
政府は、大学の授業料滞納者数の把握など現状すらつかもうとしないばかりか、国立大学への運営費交付金や私立大学への助成金を今年度も削減しました。
そのうえ、学生支援機構の奨学金の滞納者の“ブラックリスト”化をすすめ、それに同意しない学生には奨学金を打ち切るというのです。多くの学生が、不安にかられ、それを理由に進学を断念する若者すらうまれています。
奨学金制度の改悪中止を
ブラックリストなど奨学金の強引な回収強化策をただちにやめ、現行の奨学金返済の猶予制度を、厳しい雇用情勢を考慮して、弾力的に運用するとともに、無利子奨学金の採用枠を拡充することを強く求めます。
同時に、経済的理由で学業をあきらめる若者をうまないために、国立大学・高専への運営費交付金を増額し、学費減免枠を広げること、私立大学の学費負担軽減策に対して、経常費補助とは別枠で、緊急な補助を行うことを、重ねて要求します。