2009年4月4日(土)「しんぶん赤旗」
大企業の経営責任問え
産活法改定案が可決
吉井議員反対討論
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産業活力再生法(産活法)改定案が三日、衆院経済産業委員会で自民、公明、民主の賛成多数で可決されました。改定案は、「金融・経済危機への対応」を口実に、大企業のリストラを減税などで支援した上に一般企業への公的資金注入の道を開くものです。反対討論に立った日本共産党の吉井英勝議員は「不安定雇用を拡大し、中小企業の疲弊をもたらした産活法の強化は容認できない」と強調しました。
吉井氏は採決に先立つ質疑で、同法適用企業の「経営責任こそ問うべきだ」と強く求めました。
改定案には、適用企業(一般事業会社)に、政府が政策金融公庫を通じて公的資金を注入する仕組みが盛り込まれているにもかかわらず、経営責任を問う規定はありません。米国やフランスでは、公的支援を受ける大企業の経営責任を政府が厳しく追及しています。
吉井氏は、現行法の適用をうけてきた日産自動車の「カルロス・ゴーン最高経営責任者は、日産だけでも十億円、フランス・ルノー社からの報酬を合わせると合計約五十五億円の報酬を得ている」と指摘。「公的支援を受けるからには、高額報酬への高い税率とか、報酬制限が必要だ」と求めました。
二階俊博経産相は「日産といえども考えていただかなければならない」と答えました。
吉井氏は、「大企業には有事対応として産活法で支援し、中小業者への信用保証は平時の対応というのは理解できない」と、中小業者にたいするセーフティネット保証の業種制限撤廃などを求めました。
解説
大企業に至れり尽くせり
衆院経済産業委員会で可決された産業活力再生法(産活法)改定案は、大企業に至れり尽くせりの法案です。
一九九九年十月の産活法施行以降、今年四月一日までに認定された企業の「リストラ計画」は四百九十二件。人員削減数は、すでに十万人を超えているとみられます。
その一方で、同法による登録免許税(会社設立や増資の際に課せられる税金)の減税総額は、経産省の推計で総額千五十億円(同省認定分のみ)に達しています。
大企業は正社員のリストラや下請け単価を切り下げることで、空前の利益を上げ、内部留保を積み増してきました。それを促進してきたのが産活法です。
こうした大企業が今、経済危機を口実に、「派遣切り」や「下請け切り」を強行しています。
改定案は、雇用や下請け企業のリストラ・「合理化」をいっそう加速させることになります。政府・与党の責任は重大です。
民主党は委員会審議で、「(登録免許税を)一時的に停止するという選択肢もありえる」(田村謙治議員)と発言するなど、政府案より踏み込んでいっそうの大企業優遇を求めました。庶民や中小企業でなく、大企業に軸足をおく民主党の姿勢を鮮明にしました。
産業活力再生をいうなら、むしろ、大企業の経営責任こそただし、内部留保を取り崩して雇用や下請け単価を維持することを求めるべきです。(山田英明)