2009年4月1日(水)「しんぶん赤旗」
「日の丸」「君が代」強制は異常だ
12人懲戒処分の都教委に抗議
東京都教育委員会は三十一日、今年の卒業式で「日の丸」に向かって起立し「君が代」を斉唱しろとの職務命令に違反したことなどを理由に、公立学校の教職員十二人を懲戒処分にしたと発表しました。
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会などは、「教育破壊の暴挙」だと抗議する声明を出し、処分の撤回を求めました。
処分内容は停職六カ月が二人、停職三カ月が一人、減給十分の一・六カ月が四人、同一カ月が一人、戒告が四人。
「日の丸・君が代」を強制する「10・23通達」が出された二〇〇三年十月以来、処分された教職員はのべ四百二十二人になりました。
〇六年九月に東京地裁が同通達は憲法違反との判決を出していますが、都教委は控訴し、強制と処分を続けています。三月二十六日には、同じ東京地裁が通達は違憲ではなく処分は妥当との判決を出しました。
“不当処分撤回を”
教職員や保護者らの批判の中でも、依然として大量処分を繰り返す東京都教育委員会。三十一日、処分の通知が行われた文京区の都教職員研修センター前には教職員や市民ら約二百五十人が集まり、「『日の丸・君が代』強制反対」「不当処分を撤回しろ」とシュプレヒコールを上げて抗議しました。
記者会見で「不当処分撤回を求める被処分者の会」の近藤徹事務局長は、都教委が〇六年には職員会議での挙手・採決を禁止するなど教職員の意見を封じ込め、生徒への起立強制を強めていることを指摘。「現場は自由にものが言えない状況になっている」と強調しました。
処分された特別支援学校(旧養護学校)の教員は、卒業式で車いすの子どもまで壇上に上げることを強制し、呼吸が苦しくなった子どもに対応しようとした職員にまで起立を求めるなど、異常な強制ぶりを告発。別の教員は、「10・23通達を撤回させることが学校に自由の風を吹き起こすことになる」と訴えました。
被処分者の会と東京「君が代」裁判原告団は抗議声明で「処分を振りかざして教職員・生徒に『日の丸・君が代』を強制する教育破壊の暴挙」と批判。「自由で民主的な教育を学校現場によみがえらせ、生徒が主人公の卒業式・入学式を取り戻すため、生徒・保護者・市民と手を携え、処分撤回まで闘い抜く」と決意表明しました。
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