2009年3月31日(火)「しんぶん赤旗」

高金利下げ 施行の年

一部政治家が“待った”

業界誌などで「金融統制だ」


 今年はヤミ金・サラ金などによる高金利被害をなくすうえで大切な年です。出資法の上限金利を三年後をめどに引き下げ、高金利被害の温床・グレーゾーン金利の廃止を盛り込んだ改正貸金業法が、二〇〇六年十二月成立し、今年はその完全施行の年だからです。ところが金利引き下げに待ったをかけようとする自民党や民主党の一部政治家の動きがあります。(柴田善太)


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(写真)自民党と民主党の国会議員が登場する日本消費者金融協会の『月刊クレジットエイジ』

 多重債務に陥り家庭崩壊、自殺に追い込まれる―深刻な高金利被害が広がる中、一九九九年ごろから高金利引き下げを求める世論と運動が広がりました。

 改正貸金業法は高金利被害者、弁護士、労働組合や党派を超えた国会議員の粘り強い取り組みが実り、全会一致で成立しました。

 同法を「金融社会主義、統制価格のような金融マーケットをつくるもので反対だった」(〇七年二月二十一日衆院経済産業委質問)として、金利制限を批判しているのが自民党の平将明衆院議員(東京4区)です。SFCG(旧商工ファンド)から大量の債権譲渡を受けている、日本振興銀行(木村剛会長)の社外取締役を務めています。

 平氏は、利息制限法を超えた高金利による過払い金の返還請求について、サラ金業者などでつくる日本消費者金融協会の『月刊クレジットエイジ』(〇八年十月号)で、「合意をして契約を結び滞りなく完了したはずの人も返還請求を行っている。これほど理不尽なことはない」と攻撃しています。

 「改正貸金業法には問題がある」と同誌(〇八年十二月号)で批判しているのが、自民党の田村耕太郎参院議員と民主党の桜井充参院議員です。

 桜井氏は「急増した過払い返還請求が、一番業者の人たちにとって経営を揺るがす大きな問題になっている」と述べ、司法の過払い返還命令にふれ「司法が判断したから、これに全部従えというのはおかしい」と業者側に立った主張をしています。

 田村氏は「メディアが一方的な業者批判に走って、政治がオーバーリアクション、金利規制に手をつけてしまった」と発言。「サラリーマンのとき、飲み代がなくなるとよくキャッシングした。(年)金利36%でも次の月に返したら3%。要は使い方次第です」と高金利を擁護しています。

 高金利引き下げの流れに逆行して、正当な権利である過払い返還請求を非難する―。高金利被害の解決を願う世論に背を向けた議論です。


 改正貸金業法 二〇〇六年十二月成立。刑事罰のある出資法の貸出金利上限を三年後をめどに29・2%から20%に引き下げることによって、利息制限法の上限金利(15%―20%)との間の「グレーゾーン(灰色)金利」が撤廃されることになりました。貸金業への参入規制の強化、過剰貸付規制の強化も盛り込んでいます。

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