2009年3月30日(月)「しんぶん赤旗」
新世界秩序の展望論議
欧米・南米8カ国首脳会議
【メキシコ市=島田峰隆】南米チリ中部の都市ビニャデルマルで二十七、二十八の両日、欧米と南米の八カ国による首脳会議が開かれ、国際金融問題を議論しました。四月二日のロンドンでの主要二十カ国・地域(G20)金融サミットに向けた意見調整が目的です。各首脳は新たな世界秩序の形成に向けた展望を論議。会議は二十八日に最終宣言を発表しました。
ブラジル、チリ、アルゼンチン、ウルグアイの大統領のほか、スペイン、英国、ノルウェーの首相、米副大統領が出席。首脳らは同会議を「進歩派首脳会議」と呼んでいます。
ブラジルのルラ大統領は「世界経済を巨大なカジノに変えた無責任な冒険の失敗のつけを全世界が払っている。われわれは市場への妄信、国家の(役割への)軽視を拒否する」と強調しました。
金融危機への対処として、「経済的に一貫性があり、とりわけ社会的責任のある解決策でなければならない」と指摘。ブラウン英首相に対し、投機問題を必ずG20の議題とするよう求めました。
アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、金融危機の打開には「これまで以上の役割を国に果たさせなければならない」と発言しました。
同大統領は、イラク戦争を振り返り、「イラクでは多国間主義が断ち切られた。弱小国が国連決議を遂行しないと侵略される。しかし大国は国連の規則を破っても何も問われない。力関係でこうなる世界は問題だ」と批判しました。
ブラウン英首相は「市場は自制できない。国境を超えた監視が必要だ」と強調。チリのバチェレ大統領は「市場は公共の利益のために機能しなかった。世界秩序のために新しい規則が必要だ」と語りました。
バイデン米副大統領は、「米国は世界の国々と協力する」と述べました。会議の最終宣言は「金融機関に対する国内規制の改革と国際的な調整」や「(危機)防止へ国際金融機関が重要な役割を果たすこと」などの必要性を指摘しました。