2009年3月29日(日)「しんぶん赤旗」
正規も非正規も連帯しよう
“派遣切り”社会ゴメン
反貧困フェスタ
東京都内で二十八日開かれた「いま“はたらく”が危ない」をテーマにした「反貧困フェスタ2009」のシンポジウム。正規・非正規、障害者、女性などさまざまな労働者が実態とたたかいを語りました。
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「住所ができ、仕事探しの選択肢が広がりました」。こう語ったのは、仕事と住居を奪われ「年越し派遣村」に駆け込んだ男性。十年間、建設現場を転々としました。生活保護を受給し、住まいも確保できました。
「仕事を見つけても首切りを繰り返さないか心配」と語り、「同じような人を出さない世の中をつくっていきたい」とのべました。
「派遣村に命を救われた」。自殺寸前に派遣村で救われた元大手ゼネコン社員は、「これまで派遣を見下していたが、『派遣村』で生活してそうじゃないと知った」と語りました。
いすゞ自動車の派遣切りとたたかう男性は、偽装請負、派遣、期間社員と形を変えて五年九カ月も働かされ解雇されました。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)に加入し、正社員化を求めてたたかっているとのべ、「私は今年で五十歳になります。次の世代が同じ思いをしないようにしてほしい」と訴えました。
「正社員切り」とのたたかいも。日本IBMの正社員の男性は、上司に繰り返し退職強要されて夜も眠れなくなり、JMIUに加入して退職強要をやめさせました。「正社員は指名解雇できないというが、実際にはこういうことが起こっている」とのべ、正規も非正規も連帯して雇用を守ろうと力をこめました。
十八年間も派遣として働かされたうえ解雇された女性労働者や、公立図書館の非常勤職員らも実態を語り、「こんな社会はまっぴらごめんです。あきらめないで声をあげていきましょう」と訴えました。
派遣村の取り組みを報告した湯浅誠反貧困ネットワーク事務局長は、「年末年始のできごとに終わらせようという動きもあるが、運動を積み上げて生活と雇用のあり方を見直させていこう」と語りました。
組織の違い超え共同
市民団体・労組シンポ
「はたらくをどうする」と題したシンポジウムでは、全労連、連合、全労協の労働組合全国組織と女性、障害者、失業者支援などの市民団体がそろって討論し、労働運動と市民運動の連帯で派遣切りをやめさせ、貧困をなくそうと訴えました。
「非正規労働者自身が語り、たたかい、これを支えることで動かすことができる」。こう語ったのは全労連非正規労働者センターの井筒百子事務局長。
派遣切りに対して全国で労組結成・加入が百を超えており、労働組合以外の団体と共同して雇用と生活を守る運動に取り組んでいると報告。「ナショナルセンター(労働組合全国組織)の違いを超えて労働運動全体が取り組んでいくことが重要だ」とのべました。
連合非正規センターの龍井葉二総合局長は、派遣切り問題はセーフティーネットに穴が開いたまま規制緩和をすすめた結果であり、セーフティーネット再構築や就労支援に取り組んでおり、派遣法改正などに全力をあげたいと発言。「メンバーシップ(会員制)の組合がすべての働く人と連帯した社会運動に変わっていかなければならない」とのべました。
全労協の遠藤一郎常任幹事は、安定した仕事と生活できる賃金、セーフティーネットの確立が求められるとのべ、「安定雇用、直接雇用、均等待遇の原則を貫く運動を広げよう」と呼びかけました。
市民運動に取り組む団体からも、雇用の破壊によってシングルマザーや障害者はじめ各層に貧困が広がっていると報告され、「労働運動と市民運動が連携して変えていこう」との発言が続きました。
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