2009年3月29日(日)「しんぶん赤旗」

オバマ政権のアフガン新戦略

困難な「出口」の模索

軍事攻撃と民生安定狙うが


 【ワシントン=西村央】オバマ米大統領が二十七日に示したアフガン新戦略は、すでに八年目に入っているアフガンでの軍事行動が行き詰まるもとで、軍事、非軍事を組み合わせ、周辺諸国との協力体制をつくり、同盟国の支援を求めるものとなりました。


 特徴の一つは追加分四千人を含め二万余の米軍増派にみられるように、軍事攻撃の強化です。オバマ大統領は新戦略発表の演説で「状況はいっそう危険となっている」として、二〇〇八年は戦争開始以来最大の犠牲者を出したことをあげながら、国際テロ組織アルカイダ制圧の必要性を強調しました。

 戦略のもう一つの特徴は、非軍事を含めて国際協力をすすめ、アフガンの経済復興、国家再建に向けて進むというものです。

 この背景説明をしたホワイトハウス高官は、「今回の戦略で土台となるのは地域協力だ」と述べ、周辺国あげての復興支援とすることを強調しました。さらにアフガニスタン、パキスタン国境地帯を根拠地とするアルカイダ打倒のため、「二つの国にわたりながら、一つの地域での一つの課題」としたことをあげました。

 三十日にオランダのハーグで、国連主催で開くアフガンの将来についての国際会議には約八十カ国が参加。ここでクリントン国務長官がこの戦略にもとづいて各国の支援を要請するものとみられます。

 「原理主義とのたたかいは弾薬だけでは成功しない」として、その資金源を断つための麻薬取引の取り締まりも周辺国も含めた課題とするなど、武力一辺倒だったブッシュ政権との違いをにじませています。

 しかし、軍事攻撃を強めながら、その同じ国のなかで民生分野の援助を進めることがどう調和するのか。これまでも「武装勢力掃討」作戦が罪のない地域住民殺害などにつながり、米軍への憎しみや抵抗を強め、戦争長期化、泥沼化の要因にもなっていました。アフガン安定化に向けた今回の新戦略が、戦争の終結という「出口」に向かううえでは多くの不確定要素を抱えたものとなっています。


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