2009年3月29日(日)「しんぶん赤旗」

主張

ひとり親家庭

窮状広げる追い打ちやめよ


 「財布の中、もういくらもありません。働きたいです」「子どもたちの希望にそえなくて悔しいです」(あしなが育英会「遺児母子家庭調査」、二〇〇八年十二月)。

 低所得の母子家庭に支給される児童扶養手当の受給者が昨年十二月に初めて百万人を超えました。そんなひとり親家庭を、企業の倒産やリストラなど経済や雇用の悪化が直撃しています。

働きたくても働けない

 母子家庭の求職が増加する一方、求職件数にたいする就職率は〇四年度の48%から〇七年度は40%に10ポイント近くも下がっています。

 日本の母子家庭の母親は85%が働いており、イギリスやドイツの四割などと比べても格段に高い就労率です。しかし、過半数がパートタイムや派遣など、不安定・低賃金で働いており、なかには二つも三つもの職場で働いている人も少なくありません。

 働ける人はみんな必死に働いても、母子家庭の七割以上は就労収入が二百万円未満であり、児童扶養手当などを含めても平均年収は二百十一万九千円です。

 ところが政府は、この四月に生活保護の母子加算の全廃を予定通り強行しようとしています。九万世帯が影響をうけます。これでは政治が、母子家庭の窮状に追い打ちをかける事態そのものです。

 もともと貧困と格差を拡大し、母子家庭を困窮させてきたのは自民党・公明党です。〇二年には、「就労支援」を口実に児童扶養手当を支給開始五年後に半減する改悪をおこない、約六千四百人が半額にされています。この法改悪には民主党も賛成しています。

 〇五年からの生活保護の母子加算の二年間の段階的削減では、一万世帯が打ち切られました。

 いま政治がまっさきにやるべきは、ひとり親家庭の生活の命綱である生活保護の母子加算の廃止ではなく、子が十八歳まで受給できるように元に戻すことです。児童扶養手当の削減を中止し、支給額の引き上げ、支給対象拡大をはかることです。

 母子家庭にとって切実なのは長期の安定した雇用です。資格取得や技能訓練期間の経済的保障・経費援助額の増額、保育所への優先入所など就労支援の抜本的強化が欠かせません。

 高校、大学への進学を断念したり、入学金が払えない事態も各地でうまれています。無保証人・無利子の貸付制度など緊急の措置をとるとともに、授業料減免、奨学金制度の拡充、交通費補助などすすめることです。

 学用品代などを公的に補助する就学援助の認定基準の引き下げ、支給額の減額などの動きがすすんでいます。廃止された国庫補助の予算を元に戻し、支給額の改善、対象拡大をはかることが必要です。

生活の安心こそ

 財源は、無駄遣いを改めれば十分にあります。生活保護の母子加算を元に戻すために必要な予算は二百億円です。一方、米軍のグアム「移転」のための日本の財政負担は六十一億ドル(約六千億円)です。米兵家族のための豪華住宅費もふくまれています。

 日本共産党は、国会でも地方議会でも、ひとり親家庭の生活支援の拡充のために奮闘してきました。ひとり親家庭の親と子が安心して生活できるように、いっそう力をつくしていきます。


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