2009年3月28日(土)「しんぶん赤旗」

主張

来年度予算成立

外需頼みから抜け出すために


 来年度予算が成立しました。

 あまりにも外需に頼った成長路線を取ってきた日本の景気は、欧米を大きく上回る激しさで悪化しています。とりわけ国民の暮らしと中小企業の打撃は深刻です。

 麻生内閣と自公が編成した予算は、社会保障の抑制方針に固執し、大企業・大資産家を応援する「構造改革」型を続けています。

 内需と家計をないがしろにして輸出大企業に奉仕するやり方を改めない限り、破たんした「外需頼み」の路線から抜け出すことはできません。

組み替え拒否の怠慢

 わずかな一時金を支給するにすぎない「定額給付金」(二次補正予算)と同じように、来年度予算の雇用対策も短期・一時的な手当てにとどまっています。

 社会保障では「骨太方針」の抑制路線によって、合計一・六兆円の予算を削減してきました。削りようがないところまで社会保障を削り、医療・介護や生活保護など国民のいのちを直接脅かしている実態があらわになっています。その深刻さは、与謝野馨財務相が「(抑制路線は)おのずとそういう(撤回の)方向になる」と答弁せざるを得ないほどです。

 与謝野財務相は社会保障の抑制路線を敷いた二〇〇六年の骨太方針を決めた際にも経済財政相を務めていました。抑制路線を取りまとめた責任者であり、現在の財政に責任を負う人物が破たんを認めるなら、まず来年度予算を抜本的に組み替えるべきです。

 麻生太郎首相は定額給付金への態度を二転三転させました。「豊かな人に出す必要はない」という見解を撤回した理由として首相は、「経済情勢が大きく変わっ」て「消費刺激」の比重が重くなったことをあげています。もともと「構造改革」で家計が低迷していた上に、昨年秋から輸出が急減し、大企業の「派遣切り」「下請け切り」で内需が一気に冷え込みました。景気の急変で消費対策の必要性が高まったから、定額給付金への態度が変わったのだという説明です。

 それなら、政府が定額給付金を打ち出す三カ月も前に概算要求基準を決めた来年度予算案は、なおさら内需・家計を重視する方向で組み替える必要があります。麻生内閣と自民、公明が、日本共産党の組み替え要求を拒否し、内需・家計を犠牲にする予算を押し通したことは、重大な禍根を残す怠慢というほかありません。

 同時に、民主党が組み替えの要求もせず、採決日程に合意したことは、衆院に続く許しがたい与党とのなれ合いです。なにより、国民の切実な願いよりも党略を優先する姿勢を改めるべきです。

消費税増税は撤回を

 予算関連法には消費税増税の法律を二〇一一年度までに通すとした税制改定法が含まれています。

 七兆円もの減税を振る舞ってきた大企業・大資産家には減税を続ける一方、社会保障と税金で十三兆円も負担を増やした庶民に消費税増税を迫るのは本末転倒です。

 庶民の家計に重く、ふところ具合にかかわりなく課税される消費税は福祉も内需も壊す最悪の税金です。暮らしと経済を壊すなら、財政も立て直せません。

 消費税増税の方針を撤回させ、経済政策の軸足を家計に移し、外需頼みから内需主導へ転換してこそ日本経済の展望が開けます。


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