2009年3月27日(金)「しんぶん赤旗」

性暴力卑劣さ断罪

賠償請求は棄却を踏襲

海南島訴訟東京高裁判決


 戦時中、日本の植民地だった中国・海南島で旧日本軍に性暴力を受けたとする女性八人(うち二人死亡、遺族が継承)が、日本政府に対し名誉回復と損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が二十六日、東京高裁でありました。渡辺等裁判長は、一九七二年の日中共同声明で裁判上の個人の損害賠償請求権は放棄されたとし、原告らの控訴を棄却しました。原告らは上告します。

 渡辺裁判長は加害行為について「極めて卑劣な行為で、厳しい非難を受けるべき」だと断罪しつつも、兵士らの逸脱行為であって、国家の行為とはいえないと判断。一方、国の使用者責任はあるとして、政府の損害賠償責任の義務を認めました。しかし、最終的に請求権放棄を判断した二〇〇七年四月の最高裁判決を踏襲しました。

 判決は被害事実を詳細に認定しました。被害の質については、原告側が「被害が継続している」と訴えたPTSD(心的外傷後ストレス障害)を上回る「『破局的体験後の持続的人格変化』に罹患(りかん)している」と認定しました。

 明治憲法下での国家の不法行為について国は責任を負わなくてよいとする「国家無答責の法理」の適用を訴える国の主張を退けました。

 原告側弁護団は一審判決から「大きく前進した」と評価しました。小野寺利孝団長代行は被害者の高齢化で同裁判が実質的に最後の「慰安婦」裁判になると指摘。今後は政治的解決を求めていくとのべました。



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