2009年3月26日(木)「しんぶん赤旗」

救護被爆者が勝訴

7人全員 内部被ばくを重視

広島地裁


 原爆投下後に被爆者の救護などで放射線の影響を受けた「3号被爆者」をめぐり、広島市が被爆者健康手帳交付申請を却下したのは違法として、七人が却下処分の取り消しと一人二百二十万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十五日、広島地裁でありました。

 「3号被爆者」の手帳申請をめぐる初の司法判断で、野々上友之裁判長は七人全員の却下処分を取り消しました。被爆者が身につけた放射性微粒子による内部被ばくを重視した判決で、一連の原爆訴訟の認定拡大に影響するとみられます。

 「3号被爆者」の全国一律の認定基準はなく、広島県や広島市など九県市は「十人以上を救護した」とする基準を使用。野々上裁判長は「被爆者が多数集合していた環境に相応の時間とどまったなら、看護や救護などをしたかどうかにかかわりなく、放射線の影響を受けた可能性は否定できない」との判断基準を示し、七人全員がこうした環境にあったことが認められるとして、市の却下処分を違法と結論付けました。

 市の基準について「合理的根拠を精査せずに導入し、被爆者援護法制定後も漠然と採用し続けた」としましたが、そのことを国が容認してきたことから、市の損害賠償責任は否定しました。

 訴えていたのは隅坂薫さん(68)ら広島市の六十五―七十八歳の男女で、二〇〇二年八月から〇五年一月にかけ、申請を却下されました。隅坂さんは判決後、「却下された多くの人が申請し直せば、大きな道が開ける」と喜びを語りました。



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