2009年3月26日(木)「しんぶん赤旗」

フランス核実験

被害補償案提出へ

国防相「月末までに」


 モラン仏国防相は二十四日の記者会見で、フランスがアルジェリアのサハラ砂漠と南太平洋で実施した核実験による健康被害者への補償にかんする法案を今月末までに議会に提出する意向を明らかにしました。補償額は当面一千万ユーロ(約十三億三千万円)になるといいます。(伴安弘)


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 フランスは一九六〇―六六年にサハラ砂漠で四回、地下で十三回、核実験を実施。六六―九六年には仏領ポリネシアのムルロア環礁とファンガタウファ環礁で、大気圏内で四十六回、地下で百四十七回、核実験を実施しました。総数は計二百十回に及びます。

 モラン氏によると、実験に動員された仏軍兵士と民間人は約十五万人。ほかに十五歳未満の子ども六百人を含むポリネシアの住民二千人が被害にあっているとみられます。

 これらの人の中からは白血病や肺がん、甲状腺がんなどに侵され、核実験との関係を認めるよう求めて提訴する人たちが相次いでいます。最近の例では今年二月、旧軍人十二人がパリの裁判所に補償を求めて提訴しました。

 仏政府はこれまで核実験と健康被害の関係を公式に認めることを拒否してきました。この点についてモラン国防相は仏紙フィガロとのインタビューで、「仏政府は、信頼すべき核の抑止力を持とうとする政府の多大な努力が(被害者への)補償によって掘り崩されるのではないかと長い間恐れてきた」「しかし、良心に忠実であるべき時がきたのだ」と語っています。

 同相によると、第一次の補償として一千万ユーロが補償計画の初年度予算に計上されています。健康被害については医師や法律家など九人で構成される独立の委員会でケースバイケースで検討され、核実験との関連が認められた場合には政府が被害者個人に全面補償を行うといいます。

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