2009年3月22日(日)「しんぶん赤旗」
沖縄県議会野党会派 予算削除案提出へ
泡瀬干潟埋め立て 「経済的合理性なし」
昨年十一月、「経済的合理性がない」として那覇地裁が沖縄県と沖縄市に新たな公金支出の差し止めを命じた泡瀬干潟(沖縄市)埋め立て開発事業(事業総額四百八十九億円)。沖縄県議会で、埋め立て予算の削除をめぐって大きなヤマ場をむかえています。(沖縄県 星野淳)
バブル期の計画
|
泡瀬干潟埋め立て開発事業は、出島方式による人工島約百八十七ヘクタールに、大型ホテルやショッピングセンターを誘致してマリンリゾートを形成するという、市がバブル期に策定した計画です。国と県は二〇〇二年に埋め立て工事を本格着手。今年に入り、国は中城(なかぐすく)湾港新港地区整備事業で発生するしゅんせつ土砂(十五万立方メートル)の第一区域(約九十六ヘクタール)内への投入を開始し、県も沖合ふ頭と人工ビーチの造成事業を推進しています。
県は来年度予算案に、中城湾港(泡瀬地区)の港湾環境整備事業費、港湾改修費として約五億九千万円を計上しています。
「仲井真(弘多)知事の説明責任は果たされていない」。日本共産党をはじめ県議会野党六会派は、予算特別委員会総括質疑への知事の出席を強く求めました。仲井真知事は十六日、「埋め立ては地元の強い要望。中部地域の産業振興、生活基盤の向上に効果がある」と埋め立ての必要性を重ねて強調しました。
日本共産党の玉城ノブ子県議は、地裁判決や包括外部監査(〇四年)で事業の見直しを指摘された点をあげ、「経済的合理性の根拠はどこにもない。県民の税金を使ってこれ以上の埋め立てを推進すべきではない」と事業の中止を迫りました。前田政明県議は、判決が確定した場合、県が現在実施している工事は不法行為となり「知事は損害賠償の対象になる」と指摘。知事は「仮定の質問には答えない」と逃げの答弁に終始しました。
不要の判断なら
一方、「県の予算が削除されたらどうなるか」との質問に県は「国・県の事業は中断される」と答弁。予算が一度不要と判断されれば再度の予算措置は困難となり、埋め立て工事は事実上中止に追い込まれるとの考えを示しています。
野党六会派は十九日に代表者会議を開き、来年度予算案から同事業の関連経費を削除する修正案を議会に提出する方針を決めました。しかし一部議員が態度を明確にしていないため、二十三日の予算採決と続く二十五日の最終本会議まで予断を許さない状況となっています。
泡瀬干潟を守る連絡会の前川盛治事務局長は「90%事業が進行した島根県の宍道(しんじ)湖・中海など、国の自然再生推進法で再生した事業は全国十九カ所もある。今からでも遅くない。予算削除で埋め立てが止まれば日本の自然保護運動にとって大きな前進となり、全世界に向けたアピールになる」と話しています。