2009年3月22日(日)「しんぶん赤旗」
主張
企業・団体献金禁止
検討だけでなく実行が大切だ
「西松建設」などゼネコンからの違法献金疑惑に関連し、自民・民主両党からも、企業・団体献金を見直すべきだという発言が相次いでいます。中でもこの問題で公設秘書が逮捕された渦中の小沢一郎民主党代表は、企業・団体献金の「全面禁止」を口にし、党としての検討を指示しました。
発言が疑惑の追及を免れるためでないなら、自民も民主もあれこれごまかさず、今こそ「全面禁止」を実行すべきです。
疑惑の解明と再発防止を
もともと営利が目的の企業が献金するのは、見返りを期待するからです。見返りがなく利益にならなければ、献金した企業経営者はそれこそ背任罪で訴えられることにもなります。企業・団体献金そのものが腐敗政治の温床であることが、今回の違法献金疑惑でも、改めて浮き彫りになっています。
「西松建設」などゼネコンが、政治家個人への企業献金が禁止されている政治資金規正法に反し、ダミー(替え玉)の政治団体の献金を“偽装”したり、パーティー券代を装うなどで巨額の献金を続けたのも、公共事業の受注で有利な立場に立つためという疑惑が濃厚です。現に小沢氏や二階俊博経済産業相の地元で、「西松」の受注との関連が指摘されています。
小沢氏や二階氏など疑惑を指摘された政治家がまず自ら解明の責任を果たし、自民、民主の各党も政党として自浄努力をつくすのは当然です。疑惑はあいまいにすべきではありません。同時に問題をそこにとどめず、政治腐敗を根本から絶つことは政治の責任です。
腐敗政治の温床である企業・団体献金を全面禁止することは、長年にわたって日本の政治の課題でした。選挙制度や政治資金制度についての政府の審議会も、これまで何回にもわたって企業・団体献金の禁止を求めてきました。
ところが、政治家個人への企業献金はようやく二〇〇〇年から禁止されたものの、政党や政治資金団体への献金は、金額などを制限するだけで、現在に至るも禁止されていません。要は、すぐには個人献金に切り替えられないなどという、身勝手な理屈からです。
金額や政治家個人への献金などを制限するだけで、企業・団体献金そのものを全面禁止しないから、小口に分散させたり、政党支部や政党の政治資金団体を迂回(うかい)させたり、政治団体の献金を“偽装”するといった抜け道が横行するのです。いくら収支の報告を義務付けても、企業・団体献金を全面禁止しない限り、新しい抜け道が次々登場するだけで、腐敗政治の根を絶つことにはなりません。
企業献金は参政権の侵害
麻生太郎首相や自民党が、企業献金は「悪」ではないと言い張り、あくまで全面禁止に反対しているのは論外です。政治に参加する権利は主権者である国民に認められるものです。企業に献金の権利を認めれば、文字通り金の力で政治をゆがめ、国民の権利を侵害するのを許すことになります。
同時に小沢氏も企業・団体献金の禁止をいうなら、これまで受け取ってきたことへの総括を明らかにし、まず自ら受け取りを拒否すべきです。日本共産党は、企業・団体献金の全面禁止を求め一円も受け取っていません。献金禁止は、その気にさえなれば、法改正を待たなくても実行できることです。
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