2009年3月18日(水)「しんぶん赤旗」
衆院本会議
「消費者庁」関連法案・民主提出法案
吉井議員の質問(要旨)
日本共産党の吉井英勝議員が十七日の衆院本会議で行った「消費者庁」関連三法案と民主党提出二法案にたいする質問は次の通りです。
消費者問題は、豊田商事事件、霊感・マルチ商法など形を変えた多くの悪徳商法の被害から、BSE(牛海綿状脳症)汚染牛肉、偽装食品、パロマガス器具など製品欠陥による事故まで、生命・健康に直接かかわる広い範囲にわたります。
なぜ消費者被害拡大を早期にくい止めることができなかったのか、どこに欠陥があったのか、法律の不備なのか、行政執行が不十分ないし不作為によるものか、安全の規制緩和による体制の弱体化か、商品テストや相談活動の予算削減によるものなのか、きちんと検討して、消費者行政の強化とそのための組織の姿を明らかにすることが必要です。
食品検査強めよ
汚染された輸入米の三笠事件後に、農水省が強化したミニマムアクセス米の点検でカビ毒の発見件数が跳ね上がりました。これまでの点検が不十分であったことは明白ではありませんか。
輸入食品の検疫を省略して国民の安全をゆるがせにしてきたことを直ちに改め、国民の安全を守る規制強化に切り換えるべきではありませんか。
大量の輸入食品の検査率は10%に落ち込んでいます。消費者行政の強化を口にするなら、検査率を少なくとも50%まで引き上げるべきです。
製品事故の問題では、なぜパロマ工業製湯沸かし器で二十件もの死傷事故が続いたのか。シンドラー製エレベーター事故も解明がなされず、自動車のクレームが放置されてきたのは、どこに問題があったと考えますか。
欠陥製品をつくった企業の側に立証責任を課すなど現行製造物責任法(PL法)の強化が必要ではありませんか。
規制緩和見直せ
大和都市管財事件の被害者は一万七千人、第二の豊田商事事件と呼ばれ、被害額も千百億円を超えて、多くの人々の生活設計を狂わせました。金融商品被害を防止せずに、逆に被害を拡大したことについて、政府の責任をどう果たすのですか。
消費者被害を生み出した根底には、消費者保護法に基づく安全規制などが、産業優先の立場から次々と「規制緩和」によって骨抜きにされてきたことにあります。
政府は、二〇〇七年の報告書で、「規制緩和」「行革」の名で、消費者行政の中核的役割を果たしてきた国民生活センターの直接相談業務の廃止や商品テスト業務の外部化などを求めました。こうした政府の態度が、わが国の消費者行政を弱体化させた根本問題です。
いまなすべきことは、消費者行政の規制緩和を根本的に見直して、消費者の権利や利益を守る立場にたつことではありませんか。
監視体制が必要
草の根で消費者行政を支えている消費生活相談員の七割が年収二百万円以下という官製ワーキング・プア状態です。勤続五年で「雇い止め」となり、経験がいかされない実態です。消費生活相談員の処遇改善と、安全を確認する商品テスト体制の立て直しは急務ではありませんか。
今回の「消費者庁法案」では、「消費者が主役」と言いますが、なぜ肝心の「消費者の権利の尊重」を盛り込まなかったのですか。消費者が求めてきたことは、消費者目線で、政府の消費者行政をチェックできる体制です。消費者政策委員会には、自ら調査・審議し勧告を行える権限が必要ではありませんか。
わが党は、一九九七年に、行政を国民の立場で監視してそのゆがみを正すことを目的とした「行政監視院(オンブズマン)法案」を発表しました。
民主党案にある「消費者権利院」というオンブズマン制度を導入することは、一つの有効な考え方です。一方で、「消費者権利院」は、行政機関そのものではなく、国会・内閣に対する立法提言にとどまります。独立したスタッフをどのように配置するのですか。また、関係者が強く求めてきた悪徳商法などによる違法収益のはく奪も重要です。
国民が望む「消費者行政の一元化・強化」を図るために、各会派が知恵を持ち寄り、本当に消費者の立場で機能する法律に仕上げていくことが重要であります。