
2009年3月17日(火)「しんぶん赤旗」
エルサルバドルに左派大統領
新自由主義・対米従属 転換選ぶ
中米にも変革の波
【サンサルバドル=島田峰隆】中米エルサルバドルで十五日、大統領選挙が行われました。中央選管によると、開票率90%の段階で、新自由主義からの転換を掲げるファラブンド・マルティ民族解放戦線党(FMLN)のマウリシオ・フネス候補(49)が約51・3%を獲得、親米右派与党の民族主義共和同盟(ARENA)のロドリゴ・アビラ候補(44)の48・7%を上回り当選を確実にしました。
![]() 中南米の左派・中道左派政権の国ぐに |
FMLNは、一九九二年の内戦終結後に合法政党になって以来、四回目の挑戦でついに政権を獲得しました。
国民は八九年から続くARENA政権の新自由主義と対米従属の政治の転換を選びました。FMLNの勝利は、南米に広がった変革の波が親米右派の牙城とされてきた中米にも着実に広がりつつあることを示しました。中南米三十三カ国のうち左派・中道左派政権の国は十六カ国となりました。
フネス候補は同日夜、「希望を持ち続けた国民の勝利だ」と勝利宣言しました。同候補は「国民に選ばれた大統領として、特に排除されてきた貧困層が参加する政治を行う」と約束。外交では「中米統合の促進と対米関係の改善を最優先課題とする」と語りました。
また同氏に票を投じた国民に感謝すると同時に、「国の再建へ力をあわせよう」と国民の協力と団結を呼びかけました。
これまでのところアビラ候補は特にコメントしていません。同陣営の代表者はメディアに対し、「最終結果を待つ必要がある」と語りました。
エルサルバドル 面積は日本の四国よりやや広い二万一千四十一平方キロ。人口は六百八十五万人。公用語はスペイン語。75%がカトリック。二〇〇七年の一人当たり国民総所得は二千八百五十ドル(世銀調べ、日本は三万七千六百七十ドル)。一九八〇年からFMLNと右派軍事政権の間で内戦が続きましたが、九二年に国連の仲介で双方が和平協定に調印し、内戦が終結しました。