2009年3月15日(日)「しんぶん赤旗」

中国「困難な年」スタート

社会安定へ試される政策


 十三日に閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代)は二年間で四兆元(約五十七兆円)の景気対策をはじめ、経済危機に対処する方針を採択し、「かつてない困難な年」(政府活動報告)のスタートを切りました。

 会議では「昨年九月以降、労使紛争が30%ほど増えた」(広東省)などと、代表(国会議員)が社会安定への不安を語りました。

 春節(旧正月)後、都市での仕事をあきらめて農村に残った出稼ぎ労働者が千四百万人、都市に戻ったものの仕事が見つからない人が千百万人という深刻な数字も政府から明らかにされました。

 政府活動報告で温家宝首相が「多数が集まる事件の予防」という言い方で各地の暴動に言及したのも異例なことです。

 「経済成長率が1ポイント落ち込むと失業者が百万人増える」(安体富・財政学会副会長=『瞭望』)といわれます。今回の全人代では経済成長の伸び悩みが失業の増加、社会不安へと波及することに政府が相当な危機感を持っていることがうかがえました。

 温首相は閉幕後の記者会見で、今年8%の成長目標は「必要性と可能性を考慮した」ものと強調しました。

 今後政府は、個人消費の拡大とインフラ投資によって成長を図ると同時に、輸出依存から内需主導型経済への転換という長期的課題に取り組むことになります。

 社会安定では、政府活動報告などで「民族の団結」が強調されたのも特徴でした。

 チベット動乱五十周年の十日を前に、胡錦濤国家主席が九日、チベット自治区代表団の討論に出席して情勢の安定に向けた努力を呼びかけました。

 政治体制の問題では、呉邦国・全人代常務委員長(国会議長に相当)が活動報告で「西側資本主義国の政治体制」との違いを強調し、現行政治制度の堅持を繰り返し主張したことが目を引きました。(北京=山田俊英)


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