2009年3月13日(金)「しんぶん赤旗」
肝硬変、二審で初認定
原爆症 新基準の不備指摘
千葉訴訟控訴審
原爆症認定をめぐる千葉訴訟(第一次四人)の控訴審判決が十二日、東京高裁(渡辺等裁判長)でありました。判決は、新基準についての裁判所の見解を初めて示し、新基準では被爆者の救済が不十分だと指摘しました。新基準が明記していない、がん以外の疾患についても、がんに準じて放射線起因性を肯定すべきだとして、新基準での認定例がない肝硬変を高裁で初めて原爆症と認定。新基準の再改定を強く迫っています。
判決は、一審の千葉地裁判決を支持し四人全員の病気を原爆症と判断。新基準で未認定の二人について却下処分の取り消しを命じました。全国十七地裁で起こされた一連の集団訴訟で、国は十四連敗となりました。集団訴訟での高裁判決は、昨年五月に続き三つめ。
判決で原爆症と認められたのは、肝硬変などを患った高田末子さん(69)と、積極的認定対象の心筋梗塞(こうそく)や対象外の脳梗塞後遺症となった田爪スミエさん(71)です。
朝比奈隆さん(77)と男性(73)はがんで、すでに新基準で認定されています。
判決後、高裁前で高田さんは「長くたたかってきましたが、みなさんのおかげで勝てました。上告されなければ心から喜べます」とあいさつしました。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)と集団訴訟原告団、弁護団などは同日、国会内で報告集会を開催。日本共産党の笠井亮衆院議員が出席し、「今回の勝利を力に、認定基準の再見直しと全面解決をさせよう」と激励しました。
原爆症認定の新基準 二〇〇八年四月から実施された国の原爆症認定の「新しい審査の方針」のこと。爆心地から約三・五キロ以内で被爆か原爆投下から約百時間以内に爆心地から二キロ以内に入った―などの要件を満たす被爆者が、がんや白血病など五つの病気にかかった場合に「積極認定」の対象となります。それ以外は個別に審査し、総合的に判断するとしています。
■関連キーワード