2009年3月13日(金)「しんぶん赤旗」
主張
3・13重税反対行動
庶民増税路線やめ内需主導へ
「消費税増税阻止、大幅減税と仕事・雇用を増やし、内需主導の経済政策に転換を」と訴えて、全国の勤労者や年金生活者が「3・13重税反対全国統一行動」に立ち上がっています。
アメリカ発の深刻な経済危機が世界に広がり、とりわけ外需依存の成長路線を取ってきた日本は、三十五年ぶりの急激な景気悪化に陥っています。財界と自公政府が狙う消費税増税を断念させ、内需を温める経済政策に切り替えることが切実に求められます。
11年度に消費税増税
政府は来年度の税制関連法案の付則に、二〇一一年度までに消費税増税を法制化すると盛り込みました。増税時期は景気が「好転」した後だとしていますが、これは何の安心材料にもなりません。
経済財政諮問会議によると「好転」とは景気が十分回復した状態ではなく、「好転」の言葉通り、不況のどん底から上昇に向かう回復の初期を指します。内閣府は過去の不況の分析から、その時期を景気の悪化が始まってから三年、遅くとも四年後としています。そして、今回の景気悪化は〇七年後半から始まったとされています。
要するに「好転」とは、“一一年度には消費税増税を強行する”という自公政府の方針から逆算した表現にすぎません。なにより、そのとき本当に景気が「好転」していたとしても、消費税増税を強行すれば不景気に暗転します。
外需頼みから内需主導へ転換することが経済再生の不可欠の課題であることは、今や自公政府さえ認めざるを得ないほど幅広い共通認識となっています。その内需に、消費税増税が手ひどい打撃を与えることは明らかです。
ぜいたく品にかける物品税と違い、消費税は生活費に容赦なくかかります。反対に消費税は株式売買益や配当、土地の売買益にはかかりません。必然的に、所得に占める消費税の負担割合は、所得のほとんどを実生活で消費する低所得層のほうが、株や土地に投資する高所得者より重くなります。
先進国でも突出した貧困のまん延こそ内需を壊した原因です。貧困と格差を拡大する消費税増税は内需をいっそう痛めつけます。政府は消費税を社会保障に使えば所得再分配が強まると言いますが、消費税は社会保障の所得再分配機能を弱めるのであり、その逆ではありません。
他方で輸出は消費税を免税され、輸出品の仕入れにかかったとみなされる消費税分の「還付」を受けることができます。還付額は約四兆円で消費税収全体の三分の一に上り、大半が輸出大企業の財布に収まっています。専門家の試算によると、還付額はトヨタ一社で三千億円に達します。
消費税増税は内需を細らせ輸出大企業を太らせるだけです。
常識はずれの自公政府
単独で消費税率の引き下げに踏み切ったイギリスに続いて十日、EU(欧州連合)の財務相会議も生活関連分野の消費税減税で合意しました。連邦レベルの消費税を持たないアメリカは中低所得層の減税を打ち出しています。
アメリカやヨーロッパでは、経済危機を乗り切る戦略の一環として、庶民への減税が常識になっています。世界の常識に反して消費税を大幅に増税しようとしている自公政府に対して、抗議の声を集めようではありませんか。