2009年3月9日(月)「しんぶん赤旗」
西松マネーがさらけ出す
“自民・民主の選択不毛”
自民、公明の与党とこれに“対決”する民主党との構図で描かれる政治模様とは異なる政治風景が最近、目にとまります。
三月上旬、自民、民主、公明各党にまたがる会合が連続。五日午後には同じ時間帯、同じホテルで二つの会がひらかれました。
新法を推進し
一つは中谷元・元防衛庁長官、前原誠司・前民主党代表らが代表を務める「二十一世紀の安全保障体制の確立をめざす若手議員の会」。海賊対策を名目にした新たな自衛隊海外派兵のための措置とそのための新法を推進する方向を確認しました。
もう一つは財界、労働界、学識者などでつくる二十一世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)が自公民三党議員の参加で催した公務員制度改革にかんするシンポジウム。
自民党の林芳正元防衛相が「昨年、自公民三党で共同修正し国家公務員制度基本法を成立させたことを大切にしたい。国の基本法(の一つ)を(三党一致で)決めた大きい意味がある」と発言。これをうけ民主党の松本剛明・前政調会長は「与野党合意で成立させたことを私も大事にしたい」と、官僚と財界の新たな癒着構造を生むと懸念される同基本法で三党が足並みをそろえた経過をたたえあいました。
テンポ速める
二日には自民党の歴代首相経験者と小沢一郎・民主党代表、太田昭宏・公明党代表、綿貫民輔・国民新党代表らが顧問メンバーにならぶ「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」(森喜朗会長)が総会。即位日を臨時休日とする法案提出など国民主権の現憲法に反する方針を決めました。
メディア上で、予算審議などをめぐり自民、民主両党間で火花を散らしているかのような場面がクローズアップされている陰で、自衛隊海外派兵容認、国のあり方につながる公務員問題のあり方や天皇問題といった憲法に触れる基本問題で協調の幅が広がり、テンポを速めている状況です。西松建設裏金献金疑惑では自民党と民主党が金権体質に染まる同質同類の保守政党という地金をさらけ出しています。
「西松マネー問題を通じて『自民か、民主か』の二者択一型の政党選択が不毛だという本質問題を国民の目の前にさらけ出してしまった」と、自民党の閣僚経験者は語ります。(井)