2009年3月8日(日)「しんぶん赤旗」
米ロ、核削減へ新条約
外相会談 年内決着で合意
【ロンドン=小玉純一】米国のクリントン国務長官とロシアのラブロフ外相は六日、ジュネーブで初会談し、年末に期限切れとなる第一次戦略兵器削減条約(STARTI)に代わる新たな核戦力削減条約の交渉を年内に決着させることで合意しました。
米ロ首脳は昨年春、STARTIに代わる条約交渉の継続に合意しましたが、その後の進展がありませんでした。オバマ政権は、昨年夏のロシア軍のグルジア侵攻後に冷却した対ロシア関係を新たに再出発させる意向を表明してきました。
ラブロフ外相は会談後の会見で、イラン・北朝鮮核問題について米国との合意形成努力、米国が主催するアフガニスタン問題の国際会議の準備への協力を表明しました。
クリントン長官は、米国が対イラン方針を見直しているとし、イランの核兵器保有とテロ支援を阻むためのロシアの助言に感謝すると発言しました。また「(米ロの)関係再建にはいっそうの信頼、先の見通し、進展が必要で時間がかかる」と述べました。
両者はグルジア、コソボ問題などでも意見を交わしました。
また、クリントン国務長官は会談で、ラブロフ外相に「リセット」と書いた赤いボタンの付いた小箱を渡しました。バイデン米副大統領が二月に、(前政権下でギクシャクした米ロ関係に)「リセットボタンを押す時が来た」と発言したのにちなんだもの。
第一次戦略兵器削減条約(STARTI) 一九九一年に米国と旧ソ連が署名した核軍縮条約。▽両国が配備するミサイルなど戦略核の運搬手段の総数をそれぞれ計千六百に削減▽配備する戦略核弾頭数の上限を六千発に制限―などを規定しました。米国とロシアは二〇〇一年十二月、条約の義務を履行したと宣言しています。
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