2009年3月8日(日)「しんぶん赤旗」
主張
企業・団体献金
抜け道断つには禁止すべきだ
小沢一郎民主党代表の公設第一秘書が、準大手ゼネコン「西松建設」からの違法献金の疑いで逮捕されたのをきっかけに、二階俊博経済産業相や森喜朗元首相も「献金」やパーティー券代の返済の意向を示すなど、問題はますます広がっています。
違法献金の疑いを全面否定した小沢氏をめぐっても、新たな疑惑が次々指摘されています。
疑惑を徹底的に究明するとともに、政治団体を“偽装”した献金などの抜け道をふさぐため、企業・団体献金の全面禁止に踏み出すことが、いよいよ避けられない課題となっています。
政治をゆがめる買収
「西松建設」OBが名義上の代表者になった政治団体から小沢氏や自民、民主などの国会議員への献金が、政治資金規正法で禁じられた政治家個人への企業献金を隠す、まったくの“偽装”にすぎなかったことは明らかです。なかでも公設秘書が逮捕された小沢氏の場合は、小沢氏側から「西松建設」に請求し、政治団体を“偽装”した献金を画策し、長年にわたり受け取っていたとまでいわれるほどです。
同じ政治団体に巨額のパーティー券を買ってもらっていた現職閣僚の二階氏も、「西松建設」との関係は知らなかったといいながら金は返すと弁解し、参院予算委で日本共産党の小池晃議員にその不自然さを追及されても、満足な説明ができませんでした。“偽装”の疑惑は濃厚です。
見過ごせないのは、小沢氏への巨額の献金が、岩手県などでの建設工事の受注を期待したものだったという「西松建設」関係者の証言が、公然と報じられていることです。
もともと営利が目的の企業が献金するのは、何らかの見返りを期待するからです。献金しても企業の営利に効果がなければ、経営者は株主から背任で訴えられても仕方がありません。逆に具体的な見返りを求めて職務権限のある政治家に献金すれば、収賄罪に問われます。このため企業献金は、政治家個人には認めないとされてきたのです。政治団体を“偽装”した献金や、パーティー券などを装った事実上の献金は、こうした規制を空洞化する抜け穴です。
もちろん、企業献金は政治家個人でなく政党にならいいというものではありません。政治参加の権利を持たない大企業が自民党などに巨額献金を続けるのは、巨大な経済力を使って政治を丸ごと大企業のためにゆがめるためです。「政治買収」という点では政治家個人への献金と同じです。政治を国民の手に取り戻すためには、政党であれ政治家個人であれ、企業献金を禁止するのは当然です。
各党の態度が問われる
政治家への企業献金は禁止しても政党への献金などは認めているため、政党支部を「通過」させたり、政党の資金団体を“迂回(うかい)”させる抜け穴がはびこるのです。抜け穴をふさぐには企業献金を全面禁止するしかありません。
企業献金禁止は長年にわたる日本の政治の課題です。ところが、それを先送りし、政党への企業献金を「見直す」という法律の条項さえなくしたのが自民党であり、民主党の前身政党です。
今こそ長年の課題に踏み出すか、各党の態度が問われます。