2009年3月7日(土)「しんぶん赤旗」
雇用促進住宅廃止の見直しへ
佐々木質問で厚労相が答弁
「住民運動に弾みついた」
「(雇用促進住宅廃止の)閣議決定を含めてすべて検討させていただきたい」。この舛添要一厚労相の答弁を引き出した日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の国会質問(二月二十五日)が、廃止に反対する住民運動を大きく励ましています。(海老名広信)
失業者に活用し
質問の二日後、石川県の雇用促進住宅の住民は、知事と議会あてに住民八百六十四人分の署名を提出しました。
同席した日本共産党の高橋成典かほく市議候補は、佐々木質問の「赤旗」記事を示し訴えました。「厚労相が廃止の見直しを表明しました。県も廃止反対で国に働きかけてほしい」。県の担当者は「この声は国に伝えます」と応じました。
かほく市の七窪住宅自治会長、池田利之助さんはいいます。「地元の高橋さんや、国会でも共産党の方がたに協力いただいており、住民が団結して運動に弾みがついています」
住民は「雇用情勢が悪化しているいまこそ雇用促進住宅は必要だ」と主張。政府も昨年末から失業者の住宅確保に同住宅を活用し、約四千三百人が入居したことを佐々木質問で明らかにしました。
失業者を入居させる一方、住民を追い出し廃止をすすめる矛盾。「整合性をどうするのか…。閣議決定の見直しを含め検討」と舛添大臣は述べました。
「かんぽ」と同じ
佐々木議員は、住宅廃止をすすめる規制緩和・「行革」路線の本質をつきます。「国有財産を格安で民間企業に売却して、買った企業が転売してぼろもうけする」、この雇用促進住宅売却の構図は、規制緩和でオリックスが利権を得ようとした「かんぽの宿と同じ仕掛けだ」と。
当初の廃止方針は、住民の理解をえながら、自治体へ入居者付きで譲渡するのが基本でした。
ところが二〇〇五年、大きく方向転換します。オリックスの宮内義彦会長が務めた規制改革・民間開放推進会議が、自治体譲渡に加え、建物を壊して更地にすることを前提に民間へ売却する方針を打ち出したのです。
佐々木議員は質問で、三菱総合研究所の報告書を示しました。政府から売却方法の検討を委託され、〇七年一月に提出された報告書はこう述べます。売却推進に向け「民間の不動産取引にかかる専門家などを複数含む強固な体制を構築する」。同年十二月、「売却業務を民間等に委託」と閣議決定されました。
「国有財産を売るのも民間、買うのも民間」「官から民へと、民間企業にたたき売る発想は『かんぽの宿』と同じだ」と佐々木議員は厳しく批判。
与謝野馨財務大臣はこう答弁しました。「あの時代は、国がやっていることはみな間違いで民間がやっていることが正しいんだという空気があって、その中で三菱総研のレポートもでた。民間に知恵を借りれば何かいい方法があるというものではないと思う」。規制緩和・「民営化」をあおった自民党政治の破たんを認めました。