2009年3月5日(木)「しんぶん赤旗」
主張
西松“偽装”献金
疑惑解明は政治家の第一責任
小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」の会計責任者を務める公設第一秘書が、準大手ゼネコン「西松建設」からの政治団体をトンネルにした違法献金の疑いで逮捕されました。四日になって記者会見した小沢氏は献金の違法性を全面否定しましたが、疑惑は解明されたわけではありません。
小沢氏だけでなく、「西松建設」から政治団体をトンネルに政治献金を受け取っていた政治家は、自民・民主の国会議員や地方の首長など多数に上ります。自ら疑惑解明の責任を果たさせるとともに、企業・団体献金の全面禁止に踏み出すことが今こそ重要です。
突出する小沢氏への献金
政治資金規正法は、企業からの政治家個人への献金を禁止するとともに、名義を偽った献金を受け取ることも禁止しています。小沢氏の秘書の逮捕容疑は、「西松建設」がダミー(替え玉)の政治団体をトンネルにして行った献金を受け取り、虚偽の政治資金収支報告を届け出たというものです。
小沢氏は政治団体が「西松建設」のダミーとは知らなかったと違法性を否定しましたが、政治団体からの献金は二〇〇六年までの四年間だけでも二千百万円に上っています。これだけ巨額の献金を受け取りながら、出所が「西松建設」とは知らなかったなどというだけでは通用しません。
政治団体は「西松建設」OBを名義上の代表に、社員やその家族が資金を出したことになっていましたが、実際には「西松建設」がボーナスなどでその分を手当てしていたといいます。政治団体の献金が事実上「西松建設」の献金であったことは明らかで、政治資金規正法違反の疑いは免れません。
「西松建設」からの献金では、小沢氏がズバ抜けて突出していたことは、政界の常識です。「西松建設」が政治献金や政治家のパーティー券代として支出した金額のうち約四分の一が小沢氏一人に向けられていたといわれています。これほど「西松建設」と密接な関係にあった小沢氏が、問題の政治団体についてだけは「西松建設」とのかかわりを知らなかったというのでしょうか。国民に納得のいく説明が求められます。
政治団体をトンネルにした「西松建設」の“偽装”献金は、尾身幸次元財務相や二階俊博現経済産業相など、自民、民主、改革クラブなどの政治家にも渡っています。これらの政治家が自らの疑惑を解明する責任も厳しく求められます。司法の追及を待つまでもなく疑惑にこたえるのは国会議員の責任であり、小沢氏がまず自らの疑惑に誠実にこたえてこそ、野党第一党の党首としての責任を果たしたことになります。
企業・団体献金の禁止を
企業・団体献金は、形式的に入りと出が公表されていればそれでいいというものではありません。営利が目的の企業が政治家に献金するのは見返りを期待するためで、政治家個人への献金が禁止されるようになったのも、そうした弊害が目に余るからです。
実際には政治団体をトンネルにした“偽装”献金だけでなく、政党本部を迂回(うかい)して政治家個人の政党支部に交付される「迂回」献金やパーティー券などを装った裏献金が後を絶ちません。企業・団体献金の全面禁止の方向に踏み出した対応こそが求められます。
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