2009年3月5日(木)「しんぶん赤旗」
「海賊」派兵法案
「危害射撃」を認める
政府骨子 与党PTが了承
アフリカ東部ソマリア沖への自衛隊派兵を狙う自民・公明両党による「与党・海賊対策等に関するプロジェクト・チーム」(PT)は四日、国会内で会合を開き、政府側が骨子を示した武器使用基準と船舶の保護対象の範囲を拡大する「海賊対処」派兵法案を了承しました。
同法案は十日、与党内の了承をへて閣議決定・国会提出する予定です。
「海賊対処」派兵法案(仮称・海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案)では、自衛隊法八二条に基づく「海上警備行動」の武器使用基準(正当防衛・緊急避難の場合に限る)を緩和し、制止の措置(警告射撃や威嚇射撃)に従わず接近する海賊船を停船させるため、人に危害を加える「危害射撃」を認めました。海賊が反撃してくれば殺傷することも可能になります。
新法案は期限を定めない恒久法です。活動範囲は、他国の領海は含まれないものの、世界中の公海と日本の領海に拡大されます。「海上警備行動」で「日本に関係する船舶」としていた保護対象も拡大し、すべての船舶とします。
中谷元・元防衛庁長官と佐藤茂樹衆院議員(公明)の両PT座長によれば、海賊行為を働き、人質等を略取していない海賊船が逃亡する際の武器使用や逮捕のための追跡は、「司法警察権を持つ海上保安庁の巡視船ならばできるが、司法警察権を持たない自衛隊艦船はできない」(佐藤氏)とされ、新法案でも盛り込まない結論になりました。
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