2009年3月3日(火)「しんぶん赤旗」
米メディア 予算教書めぐり議論百出
「中道左派」「社民主義」「革命」
保守派 警戒心あらわ
「中道左派」「社民主義」「革命」―オバマ米大統領が概要を発表した二〇一〇会計年度の予算教書をめぐり、米メディアで議論が百出、とくに保守派が警戒心をあらわにしています。(ワシントン=小林俊哉)
「中道左派予算」と評したのはCNNのキャンディー・クローリー政治担当上級記者。レーガン政権以来約三十年間、経済格差の拡大を当然視した「新自由主義」の考え方が主流だったなかで、「庶民減税」「金持ち増税」を打ち出した予算教書は「中道左派」に見えるようです。
保守派の政治評論家チャールズ・クラウトハマー氏が二月二十七日付ワシントン・ポスト紙に掲載したコラムの題名は、『共産党宣言』をもじった「オバマ党宣言」。オバマ氏の施政方針演説は「かつてどの米大統領もしなかった、最も大胆な社民主義宣言」と評しています。
オバマ氏が医療保険制度の拡充、高等教育費への補助などを打ち出したことをさして、「規制が強く、経済は硬直化し、社会は停滞し、過保護な欧州連合」型の社会経済に導くものだと指摘。“小さな政府”の立場から保守派に“警戒”を呼びかけています。
新自由主義経済政策を強硬に擁護してきたウォール・ストリート・ジャーナル紙は、二十七日付一面で、今回の予算教書を「トリクル・アップ」と表現。大企業・大資産家を優遇すれば、そのおこぼれが庶民に回るとした新自由主義流「トリクル・ダウン」理論を真っ向から否定するものだといいたげです。
さらに同紙は「オバマ革命」と題する社説で、「オバマ氏は連邦政府の役割を拡大しようとしているだけではなく、もう政府の力に逆らい得ないという決定的なところに至ろうとしている」と主張。「一年か二年後に、米国人が今とは非常に違った国に住んでいるというようなことがないよう、(野党)共和党は重大な議論を続ける義務がある」と物々しい調子です。
ニューヨーク・タイムズ紙は二十七日付一面で、「なにはさておき、オバマ氏の提案は、過去三十年間、急速に拡大した経済格差に歯止めをかけようとするもの」とする解説記事を掲載。レーガン政権以来、米経済政策を支配してきた考えから決別する「大胆でラジカルでさえある門出」と分析しました。