2009年3月1日(日)「しんぶん赤旗」

主張

経済・雇用危機

解雇やめさせることを第一に


 日本経済はいよいよ、「経済・雇用危機」の様相を濃くしてきました。

 雇用情勢の悪化は、これまでのどの不況期に比べても、かつてないほどの深刻さです。とりわけ深刻なのは大企業いいなりの「規制緩和」路線によって急増した、「派遣」や「期間工」など非正規労働者の解雇が相次いでいることです。この年度末には、仕事も住まいも奪われた労働者が昨年末を上回り、文字通り、ちまたにあふれる事態が懸念されています。

どの不況期より急速悪化

 厚生労働省の調べでは、いわゆる「派遣切り」などで昨年十月以降に職を失った非正規労働者が、三月までの予定を含め十五万七千八百六人に上ることが明らかになりました。ハローワークなどを通じた聞き取りであくまでも“氷山の一角”ですが、それでも一月の調査に比べ約三万三千人も増えています。派遣や請負の業界が予測する、年度末に四十万人が仕事を失うという見通しにも近づいており、深刻さは明らかです。

 年末の東京・日比谷公園での「年越し派遣村」が象徴したように、安い賃金で蓄える余裕もなく、派遣会社の寮などで暮らしてきた非正規労働者の解雇は、仕事とともに住まいも奪われる深刻な事態をもたらします。仕事を奪われた人たちへの支援とともに、違法・無法な解雇そのものをやめさせることが急務です。

 政府の雇用統計によれば、解雇は非正規の労働者だけでなく、正社員にも及び始めており、景気を急速に悪化させています。一月の完全失業者は前年同月より二十一万人増の二百七十七万人(完全失業率4・1%)、有効求人倍率は〇・六七倍で前月を〇・〇六ポイント下回り五年四カ月ぶりの低水準です。

 アメリカ発の金融危機に端を発した今回の経済危機の特徴は、景気の悪化そのものがこれまでの不況に比べてかつてなく速いうえ、これまでは景気の悪化より遅れることが多かった雇用の悪化が急速に進行していることです。外需に依存し内需をないがしろにしてきたうえ、非正規労働を拡大してきたことが背景になった、文字通りの“政治災害”です。

 景気の悪化を食い止めるためには、国民の暮らしを支え、内需を拡大する対策をとることです。とりわけ無法な解雇をやめさせ、雇用を確保することは、内需の六割を占める国民の消費を支えるためにも、もっとも重要です。

 無法な解雇を野放しにし、仕事も住まいも奪われた労働者があふれるような状態では、消費も伸びず、内需も拡大しません。無法な解雇をやめさせ、雇用を確保することは、経済全体の健全な回復にとっても要中の要の対策です。

大企業に雇用の責任を

 重要なのは、今日急速に雇用の破壊が進んでいるのは、大企業に力がなくなっているためではないことです。トヨタやキヤノンなど世界に名だたる企業が内部留保もふんだんにあり体力もあるのに、無法・違法な「派遣切り」や「非正規切り」を進めています。無法な解雇をやめさせ、大企業に雇用責任を果たさせることは、「規制緩和」で非正規労働を拡大した政府にとっても重大な責任です。

 雇用の確保は待ったなしです。政府と大企業に責任を果たさせる国民のたたかいが急がれます。



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